歌舞伎俳優中村扇雀(60)尾上松緑(46)が24日、都内で、「国立劇場 6月歌舞伎鑑賞教室」(同2~23日)で上演する「人情噺文七元結」の取材会に出席した。

扇雀はこの1年以上のコロナ禍と、昨年11月に父坂田藤十郎さんが亡くなったことなどを振り返り「お客様の前で演じることの大事さ、すばらしさを感じた。去年父が亡くなり、初心に帰る、前向きな気持ちを持たないといけないと思っている」と話した。

落語が原作の芝居。松緑は「こんなに悪人が出てこない歌舞伎はない。全部ハッピーエンドで収まる。人が優しくなくなっている時代、今の嫌な気分を一息ついてもらいたい」とPR。左官長兵衛役には初めて挑む。「長所も欠点も持ち合わせている人間らしさがある。欠点も込みでチャーミングな人物像を作りたい。(監修を務める尾上)菊五郎のお兄さんに教わりながら、扇雀のお兄さんにもアドバイスをいただきたい」と話した。

国立劇場の歌舞伎鑑賞教室は、歌舞伎を初めて見る人にも分かりやすい解説付きの公演。67年に始まり、今回で99回目を迎える。昨年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため公演がなく、2年ぶりの開催となる。