【志賀貢 男の羅針盤】

【睡眠は男の強さを保つ助人になる】中高年に差しかかると、不眠症で悩む人が多くなります。その原因が多忙やストレスにあることは想像に難くありません。

 睡眠不足は、体力を維持するのに大きな禍になります。特に更年期に差しかかった40代や、70代以降の高齢の男性は気をつけなければなりません。睡眠不足が長期間続くと、それが引き金となって、精力を弱らせ、心のうつ状態を引き起こすケースもあるからです。

【正常な睡眠を保つためにトリプトファンを摂取しよう】睡眠に大きな影響を持つのがメラトニンというホルモンです。陽が落ちて暗くなり始めると、体の中にメラトニンが増え始め、その働きによって我々は眠りに誘われます。そして朝日が昇る頃になると、メラトニンの量は減少し、今度は覚醒を促すセロトニンが増えてきて、朝の目覚めを迎えるのです。

 セロトニンもメラトニンも、人体に不可欠の必須アミノ酸の一つのトリプトファンから作られるので、睡眠をとるために、トリプトファンを十分に摂取しましょう。

【眠れない時はカツオとマグロの刺身を奮発しよう】トリプトファンが多く含まれる食品を列挙してみましょう。ダントツに多いのは、カツオとマグロです。その他、アジ、ヤリイカ、鮭にも多く、また、大豆製品の納豆や油揚げにも多く含まれています。

【十分に睡眠をとり、レム睡眠を確実にむさぼろう】男性の体は、一晩8時間の睡眠をとれば、レム睡眠という、男性の性器に強い影響を与える睡眠が起こります。眠り始めると、ノンレム睡眠と呼ぶ深い睡眠が1時間半ほど続き、次に30分ほどの浅い眠りのレム睡眠がやってきます。この2時間単位の睡眠を4回くり返して、朝の目覚めを迎えるのですが、このレム睡眠の時に、勃起現象が起きるのです。

 つまり、しっかり栄養を摂り、よく眠ることが、男の強さを保つというわけです。

 ☆しが・みつぐ 北海道生まれ。医学博士。昭和大学医学部大学院博士課程を卒業。臨床医として診療を行うこと50年超、現在も現役医師として日々患者さんに接している。文筆活動においてもベストセラー多数。性科学の第一人者にして、近年は高齢者の臨終や性に関しても健筆をふるう。美空ひばり「美幌峠」「恋港」などの作詞も手掛けた。