2017年に複数件のセクハラや性的暴行疑惑が明らかになったことでハリウッドの第一線から姿を消していた米俳優ケビン・スペイシー(61)が1日、復帰作となるイタリア映画の撮影に参加している姿がキャッチされた。

スペイシーは、イタリア人俳優フランコ・ネロが監督・主演する低予算映画に刑事役としてカメオ出演することが報じられていた。地元メディアが、自身のマネジャーと一緒にマスク姿でロケ地であるトリノの観光地に出かけ、レストランの屋外席で食事を楽しむスペイシーの様子を伝えている。

カメラを向けられたスペイシーは満面の笑みを浮かべており、小さな役柄ながら約4年ぶりの俳優復帰を喜んでいるように見える。ネロはABCニュースに、スペイシーが出演オファーを承諾してくれたことを明かし、「本当にうれしい」と語っていた。

17年10月に俳優アンソニー・ラップから14歳だった1986年に性的暴行を受けたと告発されたスペイシーは、謝罪したものの自身が同性愛者であることをカミングアウトしたことが裏目に出て、「問題をすり替えている」と批判にさらされた。

その結果、出演していたネットフリックスのドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」からの降板を余儀なくされ、公開直前だった映画「ゲティ家の身代金」(17年)も出演シーンが代役で取り直しになる事態へと発展。その後も告発が相次ぎ、計20人を超える男性から訴えられたことで、表舞台から完全に姿を消していた。

アカデミー賞を受賞した「ユージュアル・サスペクツ」(95年)や「アメリカン・ビューティー」(99年)など数々の映画やドラマで名優として高い評価を受けてきたスペイシーが、最後に出演したのは18年公開の映画「ビリオネア・ボーイズ・クラブ」だった。

プロデューサーのルイス・ネロ氏はCNNのインタビューに、「彼は素晴らしい俳優だからキャスティングした」と語っていた。(ロサンゼルス=千歳香奈子)