またも海外専門家が痛烈指摘だ。オーストラリア・ビクトリア大学の健康・スポーツ研究所リチャード・バイカ博士は、同国の学術専門サイト「カンバセーション」で東京五輪について「妥協と骨抜きのイベントになる」と指摘。コンドーム配布やボランティアに対する新型コロナウイルス感染対策防止策の乏しさなど、矛盾をズバリと突き波紋を広げている。

 バイカ博士は、東京五輪が開催されれば、選手と市民の交流もなく、スポンサー企業によるホスピタリティーイベントも、関連イベントもなしと、あらゆる面で縮小されたものになると言及。「過去の大会に比べ、骨抜きで、非常に妥協したものになる」と記した。

 そのうえで同博士は、国際オリンピック委員会(IOC)と組織委員会のコロナ感染対策に対する矛盾と問題点を指摘。選手は抱擁、ハイタッチやセックスが制限される一方で、コンドームが15万個も配布される点はやはり引っかかるようで、「非常に紛らわしい」と苦言を呈した。選手に求められる感染防止対策についても、ルール違反なら選手村を追放されるが、「試合が終わってしまえば、一部のアスリートがシステム破りをする可能性がある」と、選手の試合後の豹変も予測した。

 7万8000人のボランティアに対する感染予防措置が徹底されていないことにも着目。「ボランティアの大半は予防接種を受けず、布マスク、手指消毒、社会的距離など、基本的なガイドラインでの保護のみ。ボランティアのための『プレーブック』がなく、簡単なパンフレットがあるだけなのは奇妙な見落としだ」と、選手団とボランティアとの差にも疑問を投げかけた。

 コロナ感染拡大に苦しむ東京五輪、人権問題でボイコットが叫ばれる2022年冬季北京五輪と問題を抱える大会が続くことに触れたバイカ博士。「東京五輪が五輪の将来の方向性を決めるかもしれない」と予測。東京五輪の行方は世界が注目している。