【インタビュー】ウルフギャング・ヴァン・ヘイレン「まずは自分自身が楽しめる音楽を」

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1970年代、エディとアレックスが結成していたバンド名「Mammoth(マンモス)」にちなみ、ウルフギャング・ヴァン・ヘイレンのソロ・プロジェクト名は「Mammoth WVH(マンモス ダブリューブイエイチ)」と名付けられた。「いつか自分のバンドをやることになったら、この名前を使いたいなと思っていた」と語るウルフだが、ヴァン・ヘイレンがデビューする前、マンモスでリードボーカルを担っていたのは、父のエディだった。

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そして、セルフタイトルとなったウルフのデビューアルバム『Mammoth WVH』は、ベースはもちろんのことギター、ドラム、そしてヴォーカルに至るまで、すべての楽器をひとりでこなして完成させたロックアルバムとなっている。全15曲、様々なテイストの作品が並んでいるが、まずは聴いてみてほしい。フーバスタンクやニッケルバック、フー・ファイターズといった熱量高くそれでいてキャッチー&ハードなバンドサウンドが好きなロックフリークであれば、先入観も消え失せ、万感の拍手を送ることになるだろう。

「ROCKだ。ポップ風な展開も、メタルっぽいとこもあるかもしれないけど、ROCKが核だ。僕はROCKアルバムと考えてる」──ウルフギャング・ヴァン・ヘイレン

5月某日、ウルフギャング・ヴァン・ヘイレンをキャッチ、話を聞くことができた。



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──アルバムすべての楽器を自分でプレイしたんですね。ヴァン・ヘイレンのベーシストのイメージが強いので、マルチプレイヤーであることにびっくりしました。

ウルフギャング・ヴァン・ヘイレン:一番最初に始めた楽器はドラムだったので、やっぱり自分のアイデンティティはそこにあります。プレイしていて一番心地いいのもドラムなんですよね。でも、「自分を一番表現できる楽器は?」と聞かれれば、ギターだったり歌というものになる。ただ、そこが一番苦手な分野でもあるので(笑)、今後ライブやステージでギタリストとして歌ったりもすることを考えると、一番居心地悪いところを今後最も追求していかなくちゃ、と思っているところです。

──今作を制作するにあたり、どんなアルバムにしたいと思ったのですか?

ウルフギャング・ヴァン・ヘイレン:まずは、とにかく自分自身が楽しめる音楽を作りたかった。それが最初にあるので、その上で皆さんが楽しんでくれればボーナス的に嬉しいという感じでした。

──全ての楽器を自分ひとりでプレイすることは、当然のことだったのでしょうか。

ウルフギャング・ヴァン・ヘイレン:自分ですべての楽器を弾くことが自然なことだと思ったんです。デイヴ・グロールがフー・ファイターズの1stアルバムで全部自分でやったということもあったので、自分も1stアルバムでは、それをひとつの挑戦としてできるかなという思いもあって。


──実際のレコーディングはいかがでした?

ウルフギャング・ヴァン・ヘイレン:レコーディング自体はすごくスムーズだったんですけど、一番大変だったのは歌ですね。今までメインでちゃんと歌ったことがなかったので、歌うこと……リードボーカルをとるということが、自分にとって最大のチャレンジでした。歌詞を書くこともすごく大変だったし。

──リードボーカル自体が初めてのことだったんですね。

ウルフギャング・ヴァン・ヘイレン:エルヴィス・バスケット(Michael “Elvis” Baskette:アルター・ブリッジやスラッシュも手掛けている今作のプロデューサー)が、僕にすごく自信を与えてくれました。あと、レコーディングでものすごい印象的な瞬間があったんですよ。「MAMMOTH」と「FEEL」で、父の赤白黒ストライプのフランケンシュタインを実際に弾いたんです。あのときは歴史を感じた最高な瞬間でした。

──それはすごい。歴史がつながる瞬間ですね。ヴァン・ヘイレンではベーシストとして活動してきたわけですが、そこでの経験はソロ活動にどんな影響を与えたと思いますか?

ウルフギャング・ヴァン・ヘイレン:父や伯父と一緒にステージを踏んだことで、ヴァン・ヘイレンの方向性を追求したいのではなく、僕は僕の音を追求したい・良質な音楽を作っていきたいということを痛感しました。その経験から自分自身が何をやりたいかということが明確に見えてきたかな。



──1stアルバム『Mammoth WVH』を作ったことで得た、手応えや新たに生まれた課題・野望は?

ウルフギャング・ヴァン・ヘイレン:今後改善したい点というのがすごく見えてきた。僕は大学に行っていないから、今作を作っていた3年間というのは、自分にとって大学に行くようなもの・大学での経験のようなものだと思っているんです。次回は、とにかく今回制作に費やした時間の半分でより良い作品を作りたいな(笑)。

──さっそく次作も楽しみですね。

ウルフギャング・ヴァン・ヘイレン:今回の制作中にボツにしたアイディアもあるので、それも再現したいなとワクワクしているところ。この1年間、自粛に入っている中で制作した楽曲もあるので、早くスタジオに戻ってアルバムを作りたい。半分の時間でね(笑)。

──COVID-19収束後にはライブも行なうことと思いますが、どのようなバンド構成を理想としますか?

ウルフギャング・ヴァン・ヘイレン:メンバーはすでに仲の良いミュージシャンで決まっています。自分はボーカルとギター。5人編成だけど、楽曲ではギターが何層にも鳴っているから、それを表現するには大勢のギタリストと歌える人が必要かなと思っています。


──どんなライブになりそうですか?

ウルフギャング・ヴァン・ヘイレン:まずは1時間くらいのライブになると思うので、カバー曲は無しで、どでかい音でエキサイティングなライブにしたいですね。

──完成された楽曲はストリーミングで聴かれる時代となり、ミュージシャンが音楽だけで食っていくのは難しい時代になったと言われますが、その点に関してはどう考えますか?

ウルフギャング・ヴァン・ヘイレン:特にこの1年間はミュージシャンにとって大変な1年だった。ライブができなくなっているけど、音楽を支えるという意味でもツアーは必要だからね。昔はアルバムのプロモーションのためにツアーを行っていたわけだけど、今は逆になっている。僕自身も、リスナー側の気持ちを理解するためにストリーミングも始めているけど、本当に好きな作品は何かの形で購入することをお勧めしたいなと思っています。自分自身も、好きな作品があると買うようにしているから。

──これからの活動を楽しみにしています。10年後は、どのような自分になっていると想像しますか?

ウルフギャング・ヴァン・ヘイレン:10年後…それはすごく先のことだけど、もっと言っちゃえば、自分がいなくなった時には「あのマンモスの、あの人」って覚えていてもらいたいな。「ヴァン・ヘイレンの息子」ではなく「マンモスのあの人ね」って。自分できちんと築いたもの、その軌跡を残したいと思っています。

──来日コンサート、絶対来てくれますよね?

ウルフギャング・ヴァン・ヘイレン:そんなこと2度聞く必要もないくらい、すぐに行きます。日本の文化…全てが大好きなので。自分自身のファンベースを築いて、日本に何度も行けるように頑張りたいと思います。楽しみにしておいてください。

取材・文◎烏丸哲也(JMN統括編集長)

デビューアルバム『Mammoth WVH』

配信情報:https://avex.lnk.to/MammothWVH-0611

■日本盤CD詳細
発売日:2021年6月11日
製品番号:AQCD-77492
POS:454211477492/8
税込価格:2,420円(税抜)2,200円
日本盤ボーナス・トラック1曲収録(日本盤CDのみ)
歌詞・対訳付
初回封入特典:ジャケット・ステッカー(日本盤CD限定)

トラックリスト」
1. Mr. Ed(ミスター・エド)
2. Horribly Right(ホリブリー・ライト)
3. Epiphany(エピファニー)
4. Don’t Back Down(ドント・バック・ダウン)
5. Resolve(リゾルブ)
6. You’ll Be The One(ユール・ビー・ザ・ワン)
7. Mammoth(マンモス)
8. Circles(サークルズ)
9. The Big Picture(ザ・ビッグ・ピクチャー)
10. Think It Over(シンク・イット・オーバー)
11. You’re To Blame(ユア・トゥ・ブレイム)
12. Feel(フィール)
13. Stone(ストーン)
14. Distance(ディスタンス)
15. Talk & Walk(トーク・アンド・ウォーク)*日本盤CDのみのボーナス・トラック

◆Mammoth WVH オフィシャルサイト
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