シングルマザー春子が息子リクと暮らす家に、飲み友めいこと彼氏ソラオを招き共同生活を送る、一風変わった青葉家を描く、ECサイト「北欧、暮らしの道具店」制作の累計再生回数600万超の短編ドラマ4編の先を描く映画だ。美術予備校の夏期講習に通うため居候しにきた春子の旧友・知世の娘の優子が、母が有名人であり、何でも仕切ることに抵抗を訴える姿に、春子は過去の因縁を思い起こし知世との久々の再会を決意するなど、化学反応が起きた人間模様を描く。

親子や恋人、親友同士でも完璧に理解し合うことなんてできない。でも、好きな食べ物や、ちょっとしたしぐさの裏にある感情など“これ”というポイントを理解できていれば、それでいい…青葉家の人々の距離感は実に心地よい。ボタンの掛け違いで関係が壊れたとしても、本当に通じ合っていれば、再び人と人はつながる…そんな希望を見いだすことができる物語だ。

16年ぶりに映画に主演した西田尚美が演じる春子が、とにかくかわいい。短編4本と映画を1パッケージで見れば、確かに作品のど真ん中にいるのは春子だが、映画でも、もう少しど真ん中にいて欲しかった…そこが実に惜しい。また優子の友人与田あかねを演じた、上原実矩が醸した存在感は、作品の宝物の1つだ。【村上幸将】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)