舞台「老後の資金がありません」(8月13日から、東京・新橋演舞場など)の製作発表会見が29日、都内で行われ、W主演の女優渡辺えり(66)、高畑淳子(66)が意気込みを語った。

15年に刊行された垣谷美雨のベストセラー小説を舞台化。老後の資金がない主婦たちの四苦八苦を喜劇で描く。

渡辺は「本当に、私自身が老後の資金がないんですね」と笑わせ「コロナで大赤字を出したりしたものですから、どうしようかなと。老後の資金はないんだけど、友情や愛情や家族など、もっと必要なものがあるなとこの1年感じた。66歳で老後の資金がないな、って思いながらこの芝居をやるのが楽しみ」。

ベーカリーの経営がうまくいかない主婦を演じる高畑は「そんなことがあるのが人生。思わぬことにブチ当たるのが生きていくということ」と話した。

同い年で長く演劇の世界で活躍してきた2人だが、今回が舞台初共演。ともに「いつかご一緒したいと思って30年」と互いをリスペクトした。

高畑は、渡辺の印象として、約25年前の強烈なエピソードを披露。「出演した舞台で(芝居が)イケてないなと思った俳優さんが1人いたのですが、お客さんで来ていたえりさんがドドドッと楽屋にいらして、その俳優さん捕まえて『あんた、あの役分かってる?』って。すごいなー、この人はと思った」と爆笑。渡辺は「若い時ね。演劇は高め合っていかないといけないと、それが正しいと思ってやっていたので。今そんなことやったらパワハラで訴えられちゃう」と息の合ったトークを披露した。

演出のマギーは、2人について「『わー!』『いやああっ!』とあいさつしていて、大きなお花が2輪という感じ。この舞台ってこういうことだよなと、緊張がなくなってわくわくした」。喜劇の中に歌と踊りもあるとし「老後の資金という身につまされる現実を『老後の資金がありませーん!』と歌い上げることで明るく表現できたら。歌と踊りと笑いで生活感あふれる作品を」と話した。

公演は、8月13日から同26日まで東京・新橋演舞場、9月1日から同15日まで大阪・松竹座で。