小松島競輪のGⅢ「開設71周年記念 阿波おどり杯争覇戦」は3日に3日目を行った。4日に最終日を開催し、12Rで決勝戦が行われる。

 注目は太田竜馬(25=徳島)、小川真太郎(29=徳島)、小倉竜二(45=徳島)、池田憲昭(39=香川)の四国勢に町田太我(20=広島)と大挙5人が乗った中四国勢の並び。

 決勝メンバーが出揃うと司令塔の小倉がまず動いた。地元3人で話をしていたところに「おい、〇ク〇!」と、いかつい風貌が愛くるしくて物騒な愛称を持つ池田を呼び寄せ「なあ、5人は乗りすぎや(笑い)。だからお前が町田にいけばエエ」と耳打ちした。

 町田に地元勢が付き、自分は5番手も辞さないつもりだった池田は鳩が豆鉄砲を食らったような顔となり「それはできん、できん!」と断固拒否。

 そこからの小倉はさすがで「しゃあないって。5人並べば、どのみち狙われる。それにお前も勝負圏のないところにいてもキツイやろ。あとはお客さんの購買意欲を誘わなアカン。5人並ぶよりも地元と町田―池田の方が面白い。あと、他地区に町田を取られたくないだろ?」と、全員が傷付かない巧妙な説明で池田を説得した。

 池田は「ワシから売れるわけないやないですか」となおも抵抗したが最終的に押し切られ、小川と太田に「どっかのFⅠとかで『あの記念の時に後ろに付かなかった』とか言うなよ(笑い)」と仁義?を切って、晴れて町田マークが決定した。

 小川と太田も小倉のジャッジには納得ずく。小川は「これが最善だと思います。初めて地元記念で決勝に乗れたし、3人から優勝者を出したい!」と色めき立ち、太田も「5車なら、分断とかで混乱したら全滅の可能性もある。それなら自力で狙いたい」と話し、地元は太田―小川―小倉と結束した。

 最後に小倉が言う。「町田VS佐々木みたいな感じになるのかな…。そこに太田が加われば。太田も町田に付いて2段駆けで優勝するよりも、自力で狙いに行った方がいいでしょう。オレは2人を後ろで見守っています」とクールに語ったが、静かな迫力があった。