小泉進次郎環境大臣(40)が13日、都内で行われた映画「犬部!」(篠原哲雄監督、22日公開)のイベントで、映画のモデルとなった北里大獣医学部の15人の現役学生たちとオンラインで議論した。

イベントの中で、元保護犬で映画に出演した犬に“熱烈キス”された揚げ句、現役獣医学生とのやりとりの中で、図らずも縦割り行政の問題が露見し、自ら認めて苦笑いする一幕もあった。

小泉氏は、主演の林遣都(30)が劇中でバディを組んだ犬のちえが保護犬だと知り「本当はアリスを連れてきたかった」と笑みを浮かべた。妻の滝川クリステルが福島県から引き取った、ラブラドルレトリバーの保護犬アリスと暮らしており、林から「ワンちゃん界の大女優。立派な出演者の1人。11歳です」と紹介されると「アリスは13歳ですから、ちえちゃんより年上ですね」と目を細めた。

ただ、冒頭のフォトセッションで、なでるなどしていると突然、ちえが激しく迫り、熱い“キス”を顔中に浴びた。のけぞっても迫る、ちえに苦笑いした小泉氏は「(ちえに)距離感をすぐに近づけてベロベロやられたんですけど。保護犬を見ていると、いろいろな経験をしている背景があり、人を恐れて飼い主以外、近づかない犬もいる。許してくれる瞬間がうれしい」と語った。

映画は、2004年(平16)ころ、青森県十和田市の北里大(十和田キャンパス)に実在した動物保護サークル“犬部”を描いた、片野ゆか氏の「北里大学獣医学部 犬部!」(ポプラ社刊)が原案。超が付くほどの動物好きで、一匹でも多くの命を救うため、どんな状況でも諦めない熱血主人公・花井颯太を林が演じた。

小泉氏は学生へのティーチインの中でフリップを出すと“犬部”の歴史を踏まえ「“犬部”が出来た04年と比べると、犬猫の殺処分数で見れば12分の1に減った。前進したと言える」と語った。その上で「環境省としても、動物取扱業の規制も届け出制から登録制に変えた。動物の管理も、ルールが決まっていなかったが、ケージのサイズ、人1人で何頭見るかなど先月、新しい基準も施行され、段階的に行くが具体的な基準になった。虐待の罰則も、かなり強化されてきた」などと実績を強調した。

一方で、学生に「環境省が本気で取り組んでいるんだと伝えたい。役所の課題で、情報発信が届いているのか?」と質問した。すると、6年生から「獣医学生団体がありますので、環境省とセッションする機会が年に1、2回あれば変わってくるのではないか…でも我々、どうしても農林水産省管轄なので」と答えが返ってきた。

これには小泉氏も「確かに…ここに来て、いきなり別の大臣を呼んで来いという話になりましたね。おっしゃるとおり」と苦笑い。学生が「今回、小泉大臣がいらっしゃるというので、何故だろうと思ったんですけど…動物愛護は環境省だった」と苦笑すると、小泉氏は「獣医学部には、文科省も関わりますからね。動物愛護だと私なんです。ここに来て、一気に縦割り問題というのが出てきたという…」と本音を吐露した。

小泉氏は、学生が「厚生労働省も知ったこっちゃないというわけにはいかない。環境省とも情報交換なり交流があった方が良い。生態系という意味でも必要」とフォローすると笑みを浮かべた。そして「生物多様性も環境省の所管ですから。締めは前向きに言っていただいて、ありがとうございました。環境省オフィシャルのツイッター、ぜひ見てください」とアピールした。