「週刊少年マガジン」(講談社)で連載中の内藤マーシーさんのマンガ「甘神さんちの縁結び」と「コミックDAYS」(同)で連載中の吉岡公威さんのマンガ「てんぷる」のコラボマンガ「てんぷる×甘神さんちの縁結び」が、7月7日発売の「good!アフタヌーン」(同)8号に掲載された。「甘神さんちの縁結び」は神社、「てんぷる」は寺が舞台のラブコメディーマンガで、“寺社コラボ”を実現。両作のヒロインのW(ダブル)三姉妹が表紙のオリジナル御朱印帳をプレゼントするキャンペーンも実施している。コラボを記念して、内藤さん、吉岡さんに、それぞれの作品の印象、神社、寺という題材を選んだ理由などについて聞いた。
ウナギノボリ
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内藤さん まず、個人的な感想として「てんぷる」は大好きな作品でしたので、大変恐縮ではありましたが、コラボさせていただいたことそのものがとてもうれしかったです! そして今回、神社とお寺を舞台とした作品のコラボとなりましたが、とても親和性が高いなと思いました。吉岡先生が描き下ろしてくださったコラボマンガや、両作品のヒロインが並んだ絵を見た時に、本当にご近所付き合いしているんじゃないか、と思えて面白かったですね。改めて吉岡先生、すてきなコラボをありがとうございました!
吉岡さん コラボマンガの経験は初めてでしたので、とてもやりがいがありました。ありがとうございました。やはり“ご縁”があったのかな、と思います。神社、お寺に一番共通しているものが“縁”だと思いますので。しかし「てんぷる」の方はなかなかに罰当たりなギャグや描写をしてしまっているので「甘神さん」にご迷惑がかからないか戦々恐々としております。できれば御仏の慈悲で、御利益がある方向に向かってくれることを祈っております。
内藤さん すごく自然に流れるように決まったのを覚えています。連載企画を考えていた当時、自分が京都府出身というのもあって打ち合わせで、「京都を舞台にしたラブコメにしてみよう」と話が進みました。京都ならば、和風の絵になるラブコメにしたいなと思って、鳥居や巫女(みこ)さんなど、和を演出するのにぴったりな神社を舞台にしようと決めました。
吉岡さん 現在も並行連載中の「ぐらんぶる」(原作・井上堅二さん)では、男子の裸ばっかり描いていたので、もう一本連載しようという話になった時に、女子多めのラブコメを考えました。そこからギャップのある設定を模索していたところお寺にいきつきました。元々お寺という場所と教えに興味があったことと、私の身内にお寺出身の方がおり、取材がしやすそうだったということもあります。あと、身内のやることなので少々むちゃをしても怒られないかなーと(笑い)。今のところ取材させていただいたお寺の住職様は仏スマイルでお許しいただいております。
内藤さん 個人的な見解ではありますが、お寺は「人が寄りそう人情的な空間」だと思っています。小さい頃、よく友達と集まって遊んでいた近所のお寺があるのですが、最近、身内に不幸がありそのお寺にお世話になったこともあって、お寺は人の生死や人生と、とても親しい関係だなと思いました。それに対して神社は「人の世界とは違う神秘的な空間」だと思っています。神社にある鳥居は、神域への入り口とも言われていて、実際に鳥居をくぐったら違う世界に来たように空気が変わるのを感じます。こういった神秘的な雰囲気は神社にしかない魅力だと思いますし、ひょっとしたら自分が描いているマンガの中でも何か不思議なことが起こりえるのかもしれませんね。
吉岡さん そうですね。お寺のことを勉強する上で神社のこともたくさんお話を聞けたのですが「神様」が住んでいる場所はそれだけでも十分魅力的かと思います。寺社仏閣には度々足を運んでいますが、神社はとても建築物や自然がキレイなところが多く、息抜きに散歩に行くだけでもすてきです。一方、お寺は修行をする場のものも多くあります。こちらはピリッとした空気がとてもよいですね。三日月寺のように半分一般家庭のような場所もとても開けていて居心地のよい空間になっています。そこに住んでいる住職さんたちの考え方などが色濃く出ているのも、魅力の一つではないでしょうか。
内藤さん 神社やお寺は、景観がどんどん変化していく現代で、いつの時代においても変わらない日本の和の景色で包まれた特別な空間だと思います。両作品とも現代が舞台ですが、風景やヒロインの絵が自然と和風になるのが面白いですよね。それは神社やお寺だからこそ出せる共通の魅力だと思います。
吉岡さん 神と仏と違いはありますが、やはり一番大事にしているのは「人との縁」
そして「経営の大変さ」ではないでしょうか。取材の際、いかに住職さんと寺庭さんたちが大変な環境か語っていただきましたので。住職さんの多くが副業をしているというのも聞いて驚きました。
内藤さん もちろんよい意味で大変罰当たりな作品だと思いました(笑い)。ついつい目を追ってしまうお色気シーンも、お寺という舞台や主人公・赤神くんの煩悩を消し去りたいという志があるおかげで余計に背徳感も味わえてずっとドキドキしながら読ませてもらっています。もちろんそれだけでなく、お寺が抱える問題に対してもヒロインや主人公がしっかり向きあっていく誠実なドラマもあって、お色気、お笑い、人情の三拍子そろったとても楽しい作品だと思いました。
吉岡さん ありがとうございます。「甘神さん」も楽しくて誠実な物語ですよね。あと、女の子の可愛さはもちろんですが、とてもキレイで印象的な画面づくりが達者です。はっと息をのむような情景を見ることができるのもこの作品の魅力ではないでしょうか。
内藤さん 吉岡先生の絵の魅力は、なんといってもキャラクターの表情の豊かさだと思います。ヒロインの照れ顔や笑顔が可愛いのはもちろん、男性キャラの表情もとてもコミカルで愛嬌(あいきょう)があり、顔を見るだけでも心情やせりふが伝わってくるのは、さすがだと思いました。自分も作家として見習わなきゃいけないことだと思っています。ちなみに自分の推しは、ツンデレ可愛い月夜さんです。
吉岡さん 私が魅力的に感じるのはおっぱ……スピーディーで先の読めない展開です。毎回次回はどんなおっぱ……展開になるのか目が離せません。推しは一番ボリュームのある長女の夜重さんです。
-ー可愛い女の子を描くコツは?
内藤さん 自分はラブコメ駆け出しの身でありますので暗中模索の日々ですが……。単純な可愛い顔や表情の変化だけではないヒロインのリアクションが大事かなとも思います。例えば“恥ずかしがる”一つとっても、頬を赤らめて目をそらすのか、主人公の顔が見れなくなって机の下に潜り込んで出てこなくなるのか……。極端な例かもしれませんが、多分後者の方が可愛くてキャラクターが出るんじゃないかと思います。
吉岡さん 個人的にはあまりデフォルメしすぎないよう心がけています。もちろんゆるい時は徹底してゆるく描きますが。女の子は自然体にしているのがとても魅力的だと思いますので。あと、おっぱ……おっぱいです。
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