2018年9月に芸能界を引退した元歌手の安室奈美恵さん(43)が紺綬褒章を受章したことが9日付の官報で発表された。

 紺綬褒章は公益のため多額の私財を寄付した人に授与される章。安室さんのほか、「AAA」の末吉秀太、「エイベックス」松浦勝人会長らも受章した。

 安室さんには賞杯も授与された。賞杯は1500万円以上寄付した個人に授与される。加藤勝信官房長官は14日の記者会見で、安室さんに「公益のため多額の寄付を行った。感謝と敬意を表したい」と述べた。

 伝説だけを残して表舞台から去った安室さんは、かねて寄付の精神を持ち合わせていた。05年のスマトラ沖地震の時は被災した子供たちのために、日本ユニセフ協会を通じて1000万円を寄付。18年9月には地元・沖縄の子どもの貧困問題解消のために設立された「沖縄子ども未来基金」に200万円を届けている。

 他方で安室さんの〝寄付精神〟にはこだわりがあった。音楽関係者によると「静かに、黙って寄付することを美学としていました。巨額を投じたとしても、決してひけらかさない人でした」という。

 11年3月の東日本大震災の時には日本赤十字社を通じて5000万円もの大金を寄付したと伝えられたが、安室さん的には不本意だったという。当時を知る芸能プロ関係者の話。

「どういうわけか金額が表に出てしまったことに、安室さんは怒ったそうです。寄付行為が自身のプロモーションのようになることを嫌っていたといいます。本当に苦しんでいるのは被災地の人々であり、寄付のニュースが大々的に報じられることで、大事なニュースが消されてしまうことを危惧していたそうです」

 今回の紺綬褒章でも1500万円以上の寄付であることはわかっているが、具体的な金額までは明らかにされていない。辞して語らず…といったところか。