久しく聞くことのなかった元歌手・安室奈美恵さん(43)の名前が、政府高官の口から飛び出した。加藤勝信官房長官が14日の記者会見で、安室さんに紺綬褒章を授与したと明らかにした。引退からやがて3年になる歌姫が授かった褒章とは――。

 2018年9月、地元沖縄での公演をもってステージを去った平成の歌姫。その名がメディアをにぎわすこともなかったところに、加藤官房長官の発表があった。授与は6月30日付で、すでに7月9日の官報に記載されていた。加藤氏は「公益のため多額の寄付を行った。感謝と敬意を表したい」と述べたが、寄付の詳細は明らかにしなかった。

 加藤氏の言葉通り、紺綬褒章は公益のために私財を投じた者に授与される。著名人では過去に、歌手の浜崎あゆみや元SMAPの中居正広と香取慎吾、スポーツ界ではボートレースの選手らがこの栄誉に浴している。

 各種褒章については1881年に褒章条例が制定され、1918年に紺綬が加わった。国立公文書館のホームページ(HP)によると、「叙勲の対象にはなりにくいものの、顕著な功績が認められた者に対して授与されます」。

 内閣府HPでは、紺綬は、紅綬(自己の危険を顧みず人命の救助に尽力した方)、緑綬、黄綬、紫綬、藍綬に次ぐ6番目となっている。官報によると、安室さんには木杯(一組台付)も授与。これは銀杯に次ぐ格付けとみられる。

 ネット上では「まだ皆の心に安室ちゃんいるもんね」「本当に誇らしいです」「安室ちゃんがニュースになり泣いた」といったコメントが続々。数々の災害被害に対して義援金を贈るなどの社会貢献活動が、引退後に改めて認められた。