いよいよ東京五輪も最終日。午前7時には男子マラソンがスタートする。地球上の芸人で唯一無二の五輪マラソン完走を誇る、リオ五輪カンボジア代表の猫ひろし(44)が日刊スポーツの取材に応じて、日本代表にエールを送った。五輪と同時に室内でランニングマシンでスタート。YouTube「チャンネル猫ひろし」で生配信しながら、ゴールを目指す。

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カンボジア名でチュマー(猫)ひろしは8日、44歳の誕生日を迎えた。偶然にもこの日は、「世界猫の日」でもある。猫は「本来なら、僕が主役になる日なんですけどね。残念ながら元母国の日本で開催の東京五輪の出場を逃してしまいました。でも、女子の一山麻緒選手が8位入賞。おめでとうございます。男子選手も暑いレースとなりますが熱い走りを期待しています!」と話した。

日本の代表はマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)優勝の中村匠吾、同2位の服部勇馬、そして大迫傑。猫は「やっぱり中村選手ですよね。MGCで暑い中、勝ってきた。それとチームメートに日本記録保持者の鈴木健吾選手がいる。コロナ禍でレースがない中、レベルの高い練習相手がいるのは大きい。あと、中村選手は僕の幼なじみと同じ名前なんです(笑い)。それに、引退を表明した大迫選手のラストレースに注目しましょう」と分析。

09年にホリエモンこと堀江貴文氏のネット番組で「猫ひろし再生計画」として「国籍を変えてオリンピック代表を目指そう」となった。07年に結婚して、11年2月には長女も誕生したが、同年11月にカンボジア国籍に。「奥さんと娘は日本国籍のまま。僕は来日している形です。選挙権がない、かつての本名で通名である瀧崎邦明をローマ字で書かなきゃいけない、海外ロケに行く時も、日本のパスポートならOKだけどカンボジアだからビザが必要とか大変ですね」と明かす。

12年ロンドン五輪代表は逃したが、16年リオ五輪では実力で堂々の代表。155人が出走して、完走140人中139位。「140位はヨルダン人。カンボジア代表になって、プノンペンで行きつけのコインランドリーのおじさんが1回、洗濯代をタダに。200円くらい。よく顔を合わせる兄ちゃんがペットボトルの水をくれました」と笑う。

男子マラソンと同時に、猫もYouTube「チャンネル猫ひろし」の生配信をスタート、応援しながら42・195キロ走破を目指す。「空気で体を持ち上げて体重負荷を軽減できるランニング強化マシン『ドリームハンター』で冷房のきいた部屋で走ります。目標はリオのタイム2時間45分55秒の更新。もしかしたら、ドリームハンターで走る分、本物の選手より先にゴールしちゃうかも。ニャ~!」と笑う。

今年でデビュー20年目「ちょうど半分の10年目で国籍を変えた。コロナ禍で1年半も帰れてないけど、カンボジア語を勉強している。現地でテレビに出てみたい。あとカンボジア後輩選手のサポートもできれば」。世界の芸人史上、絶対無二の“オス”は、まだまだ夢を追って走り続ける。【小谷野俊哉】

◆猫ひろし(ねこ・ひろし)1977年(昭52)8月8日、千葉県市原市生まれ。00年(平12)に目白大卒後、芸人に。07年4月28日結婚。11年2月長女誕生。11年11月9日、ロンドン五輪マラソン代表を目指してカンボジア国籍に。カンボジアでの愛称はチュマー(猫)ヒロシ。16年8月21日、リオ五輪男子マラソンにカンボジア代表として出場。155人出走で140人完走の139位。自己ベストは2時間27分48秒。147センチ。血液型A。