【志賀貢 男の羅針盤】

【男を襲う最大のストレス】私たちは、数えきれないほどのストレスの中で生きていますが、とりわけ生命を脅かすほどの重大なストレスが三つあります。

 一つ目はパートナーの死、二つ目は離縁、そして三つ目は別居です。とくに男性は、妻との死別、離婚、別居から耐えきれないほどの強いストレスを受けることがわかっています。

 以上の三つは、アメリカの社会学者が指摘した三大ストレスですが、ロンドン大学の名誉教授パークス博士も、妻の死別が夫をうつ状態に陥れ、病気にかかる率が上昇し、とくに心臓が1年以内にやられると指摘しています。博士は、このうつ状態で男性が病に倒れる状態を見ていて、「ハート・ブロークン」の真の意味が理解できたと語っています。

【死別した後の3カ月がダメージのピーク】これも、アメリカの研究ですが、がんで妻を失った夫の血液を調べてみると、3カ月にわたって血液中のリンパ球が激減することがわかりました。

 リンパ球は、免疫を維持するための重要な働きをする細胞ですから、この状態に陥ると、いろいろな感染症をはじめとして、細菌やウイルスの侵入に悩まされるようになります。

【不幸の後の3カ月はとくに健康に注意を】最愛の人を失うと、誰でもうつ状態に陥り、食欲が落ち、不眠になりがちです。

 しかし、そんな孤立した精神状態のまま部屋に閉じこもっていると、後追い死が忍び寄ることになります。万が一、不幸に見舞われた時には、ストレスに負けないように、孤独は避け、対人関係を豊かにし、三度の食事をしっかりとらなければなりません。

 とても食事がのどを通らないという場合に最適の料理が、天然の素材から作ったスープです。コーンスープ、かぼちゃのスープ、オニオンスープ、また、食が細い時には卵スープ、ポテトスープがおすすめです。

 水分と栄養素を補えば、体のダメージを最低限にとどめることができます。そして一日も早く、ストレスから立ち直ってください。

 ☆しが・みつぐ 北海道生まれ。医学博士。昭和大学医学部大学院博士課程を卒業。臨床医として診療を行うこと50年超、現在も現役医師として日々患者さんに接している。文筆活動においてもベストセラー多数。性科学の第一人者にして、近年は高齢者の臨終や性に関しても健筆をふるう。美空ひばり「美幌峠」「恋港」などの作詞も手掛けた。