少年たちのみずみずしい恋愛を描いた仏映画「Summer of 85」(フランソワ・オゾン監督、20日公開)のプレミア上映会が12日、都内で行われ、特別映像のナレーションを務めた俳優磯村勇斗(28)がリモート出演した。

特別映像は「“耳で恋する”MUSIC VIDEO」と題し、主人公のアレックスが好きになったダヴィドと、2人で過ごしたひと夏を劇中曲にあわせて振り返るもので、磯村がナレーターを担当している。

磯村は「アレックスの心情を語る立場で、緊張しました。彼の気持ちを伝えるのに、感情を移入しすぎても邪魔になるし、ディレクターとやりとりしながら収録しました」。アレックス役の新人俳優についても「すてきな芝居をしますね。上手というよりは自然ですね。ダヴィドを見る目線は、本当に好きにならないとでない表情ですね。監督の演出力もあると思いますが」。

今作は監督の意向でフィルムで撮影された。磯村は「フィルムの質感がこの映画の世界観を引き立ててくれたと思います。ザラザラした質感とか、色味とかがデジタルではでないですね。夕日のシーンとか、オレンジ色ではデジタルではでない、鮮やかでないけど美しい」と話した。

作品は2人の少年の恋愛を描いているが、自身の初恋については「中学生のころですかね」。さらにMCから内容を突っ込まれると「小学校からの同級生で、2人でその小学校の周辺をデートしました。その日の夜に、彼女からメールが来て、『なんで、手をつないでくれなかったの。私こと好きじゃないの』と言われました。その時、好きな子とは手をつながないとダメなんだと初めて気付きました。それがトラウマになっていて、デートの前は手汗がでます」などと告白した。イベントでは、事前に募集した恋のお悩みに対して、真摯(しんし)に答えた。

原作はオゾン監督が17歳の頃に読み、影響を受けたというエイダン・チェンバーズの青春小説「おれの墓で踊れ」。北フランスの海辺の町で運命的に出会った2人の少年、アレックスとダヴィドが、愛と永遠の別れを知るまでの6週間を描くはかない恋の物語だ。