フリーアナウンサー古舘伊知郎（66）が、16日に単行本「MC論」（ワニブックス）を出版する。

テレビの司会として1960年代から活躍した故大橋巨泉氏をはじめ、タモリ、たけし、さんまの「ビッグ3」、とんねるず、ダウンタウン、中居正広、みのもんた、関口宏、小倉智昭、黒柳徹子、安住紳一郎、羽鳥慎一、村上信五などを取り上げ、その手法、影響力などを分析した“交友録”でもある。

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10月から前NHKの大越健介さん（59）が、僕が前にやっていたテレ朝「報道ステーション」のキャスターに就任します。大越さんの人気は、長く続くと思いますよ。大越さん就任は、僕には全く伝わってきませんでした。

「報ステ」に仲いい連中はいるけれども、辞めて1年、2年と違いますよね。もう5年以上になるとね。だから「大越さん就任か？」ぐらいから知って、定年ちょっと早めに、巻き気味にしてっていうんだったらありえるかなと思ったら、ありうると。決定ってなった。やっぱりそうなんだ。正直なところ、全く何も知らなかった。

「MC論」は交友録じゃないですか。絡んでないとダメじゃないですか。でも僕、会ったことないんですよ。話したこともないですよ。同じ時期に一時、彼は「ニュースウオッチ9」やっていて、ってだけで。アナウンサー同士だったら、アナウンサーの先輩、後輩みたいなことで、もっとこれはフレンドリーな気持ちで、後輩として見ちゃうようないけないところもあるかもしれないけど。

大越さんはジャーナリストだから、記者出身の方だし、なんつったって東大出ですからね。しかも、東大野球部でピッチャー、高校時代はキャッチャーもやったっていうね。これニュースアンカーとしても、全てそろってるじゃないですか。俺みたいに丸腰で報道に行ったわけじゃないんですから。全く出が違うわけですよ、向こうはエリートですから。ちょっと違うまなざしで見てましたよ。「ニュースウオッチ」は「報ステ」が始まる前の時間。で、本当にすごい人だと思ったんですよ。

僕みたいに「日本には原子力村が存在していて」とか、平気で震災から1年の特番で言ってしまうような人間じゃないでしょ。普通、言わないんですよ。でも、まろやかに原発には反対の意見を持っているっていうことを、僕みたいに言わないで遠回しに言ってね。ギリギリ誰もが見てしまう可能性があるところで、偏った意見を言わない“言い回し”ができて終わる人なんだから。

極論すると、亡くなった（TBS「ニュース23」の）筑紫哲也さんのウォルター・クロンカイト（CBS「イブニングニュース」のアンカーマン）から引っ張ってきた、「今日はこんなところです」っていうね。ああやって、いろんなニュースを、もろもろ伝えて「今日はこんなところです」と。今日という一日を、世界をくるんだっていう。あれぐらい包容力がある人だなと思って「ニュースウオッチ」見てたんですよ。

だから、テレ朝はいいところ目つけたし、大越さんも、もう一丁勝負と。老境に差し掛かる前に、高齢者と言われる5年前に出てくるっていう。「報ステ」でひと花咲かしてやっかっていう、これはいいタイミングだなぁと思ってね。

ある人が「古舘さん、どう思う？」って。雑談してたんですよ、同じ業界の人と。俺は大越さんが好きだから言っちゃうのかもしれないけど「大越さんは素晴らしい人選だと思う」と。今まで頑張ってきた局アナには申し訳ない、（キャスターの）富川（悠太アナウンサー）にも申し訳ないけども。とにかく、大越さんはいい人選だと思うと。あの人は、言っちゃいけないことは言わないと思いますよ。で、“芯くった甘がみ”をする人だと。“芯くった甘がみ”をするんで、僕はいいと思うって言ったんですよ。（続く）

◆古舘伊知郎（ふるたち・いちろう）1954年（昭29）12月7日、東京都生まれ。立大卒業後の77年にテレビ朝日入社。同8月からプロレス中継を担当。84年6月退社、フリーとなり「古舘プロジェクト」設立。85～90年フジテレビ系「夜のヒットスタジオDELUXE、SUPER」司会。09～94年フジテレビ系「F1グランプリ実況中継」。94～96年NHK「紅白歌合戦」司会。94～05年日本テレビ系「おしゃれカンケイ」司会。04～16年テレビ朝日系「報道ステーション」キャスター。現在、NHK「日本人のおなまえ」（木曜午後7時57分）司会など。YouTube「古舘Ch」。14日の徳用・渋谷区文化総合センター大和田古さくらホールから初の全国ツアー「古舘伊知郎トーキングブルース2021」がスタートした。血液型AB。