ヒップホップユニット、RHYMESTER(ライムスター)の宇多丸(52)が30日、TBSラジオ「アフター6ジャンクション」に出演し、新型コロナウイルス感染防止対策をめぐり批判があがって騒動化している愛知・常滑で行われたヒップホップ系野外フェス「NAMIMONOGATARI2021」について、意見を述べた。

番組冒頭、宇多丸は「ちょっと大問題な状況が、ネット上で話題になっている」と前置きし、「ヒップホップイベントというか、『NAMIMONOGATARI』というのがあって…写真見ると非常に密な状態で、お酒も出されていて。今の状況の中、例えば音楽イベントも当然気をつけてやっているところがほとんどなんですよ。ところが、明らかに配慮を欠いた状態でやっちゃっている」と話した。

宇多丸は「ライムスターもはしくれなんで、ヒップホップグループの。『NAMIMONOGATARI』2012年に1回出たことある。場所は違うんですけどね」と過去の出演歴を振り返った。その上で「皆さんおっしゃるとおり(今回は)非難されて当然の状況。特に開催者がね、全くお客さんがどういう状態になるかを計算せずに、なのか…配慮を欠いているのは明らかだし、非難されて当然だと思いますよ、これは」と苦言を呈した。

また、「2012年出た感じで言うと、出る側のメンツも、いらっしゃるお客さんも、どっちかというとヤンチャ寄りな感じの空気のイベント。だから許されるってことじゃないですよ。なので、ちょっとワイルドにやっちゃったのかな、というのはなんとなく想像も付く」と同イベントについて説明。出演者に対しては「出てる側は行ってから『あちゃ~』と思った人も多いと思う。『この状況か~、でも今更…』と思ってやった方はいるのかもしれないけど」と一定の理解を示した。

宇多丸は「ヒップホップということでひとくくりにできるほど、考え方もアーティストのカラーも違うので、僕ごときが上から目線で先輩だからって言うことじゃないんだけど、僕の意見として言うならば、ヒップホップシーンはヤンチャでもあるけど、同時に、いち早く意識のアップデートというか、いろんな意味で時代の先を走っているべき、いてほしい。だからヤンチャであることと、今回周りから見て『そういう意識の持ち方なんですか』と言われるのはちょっとやっぱ恥ずかしいというか。ヒップホップシーンだからこそ、そういうところでいち早く手を打つというか。いろんな面で、歌詞の中身とかもそうだけど、意識のアップデートをしてこそ、音楽的だけじゃなく、意識でも最先端を行ってね。実際アメリカのシーンはそれを成し遂げている。意識のアップデートをしてこそ、真に格好いいカルチャーだと僕は思う、そうあって欲しい」と意見。「そう言う意味ではまあ『反省しろ』としか言いようがないけどね、これは本当に良くなかったと思います」と断じた。

また、宇多丸やユニットが今年出たイベントは「僕が見た限り、客席もコントロールされていた」としたが、今後出演予定のイベントについては「感染状況もさらに気をつけなくてはいけない状況」として「主催者と安全対策を厳しくやってます」と説明。ただ、「僕らもいろんな決断をしなきゃいけないかもしれない。今回の一件見て『行ってダメでした』というのは言い訳にならないな、と。音楽業界で己に問うている人が大半だと思う」と自身に対しての警鐘にもするとした。

同イベントをめぐっては、愛知県知事や常滑市長も抗議の意志を示している。