宝塚歌劇団の花組人気スター水美舞斗(みなみ・まいと)が2日、大阪市北区のシアター・ドラマシティで、つかこうへいさんの「蒲田行進曲」をもとにした主演作「銀ちゃんの恋」の初日を迎えた。同劇場で10日まで。

情感のこもった芝居、迫力もキレもあるダンスが武器の水美は、花組選抜メンバーらを率いて、人情劇でセンターに立った。すでに神奈川公演を終え、今作が東上初主演作。地元の大阪へ戻ってきた。前日1日に行われた通し稽古後には「チーム一丸となって、精いっぱいつとめて参ります」と決意も示した。

花組は、前回本拠地作でトップ娘役だった華優希、水美も慕っていた2番手スターだった瀬戸かずやらが退団。同期のトップ柚香光率いる新生花組は再出発を迎え、主力スターとして、水美への期待もさらに高まっている。

今回、演じたのは倉丘銀四郎。人情のあるスター俳優ながら、感情の起伏の激しさが難点という設定に、水美らしく真正面から立ち向かい、芝居心も発揮しての熱演になった。

水美は09年入団の95期生。ダンサーとして注目されたが、新人公演初主演は最終7年目と早くはなかった。宝塚バウホール公演は「男役10年」の節目だった18年に初主演。当時の取材で、宝塚音楽学校時代に恩師から「くさるなよ」と言われた言葉を大事にしていると言い、瀬戸や、当時花組にいた鳳月杏ら先輩の背を追い階段を上がってきた。

心と心がぶつかり合う様を描いた今作。水美は培い、磨いてきた技量で、熱演を見せている。

銀四郎を慕う「ヤス」は、10年目の飛龍つかさがヒゲを着けて好演。銀四郎のライバル役者は、帆純まひろ、銀四郎の恋人でヒロインの水原小夏には星空美咲が臨んでいる。