東京・池袋で2019年4月、乗用車を暴走させ、母子を死亡させ、9人に重軽傷を負わせた事故で、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われた旧通産省工業技術院元院長・飯塚幸三被告(90)に対し、2日、東京地裁が禁錮5年の実刑判決を下した。

 飯塚被告は「車の異常で暴走した」とし、ブレーキとアクセルのペダルの踏み間違いについて「踏み間違えた記憶はない」と主張したが、判決では踏み間違いを認定し「被告の一方的な過失」と断罪した。

 これについて、3日のテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」のコメンテーターで同局社員の玉川徹氏は「飯塚被告は工学博士で専門は計量学。その博士課程まで終えた人であれば、人間のミス、記憶違いが機械に劣っているということが十分わかっているはず。機械が壊れたというより、自分が間違ったんじゃないかということはわかっている人のはず。それでも記憶がないといって、検察側の機械を全部調べたが何も原因はなかったという指摘にも、反省をしようとしない姿勢を続けている」と指摘。

 飯塚被告側は控訴について方針を明かしていないが、今後について玉川氏は「控訴するとなると、今後もその主張を続けることになるが、なぜそこまで続けるか、いろんな理由があると思うが、このまま裁判を続けた方がずっと家にいられるからというのもあるかもしれないけど、もう一つは彼が元々官僚だったというのもあると僕は思う。官僚機構の大きな問題点で、無謬(むびゅう)性神話、官僚機構は間違わない神話というのがある。これがいろんな問題を生んできた。間違ったことを認めると、過去を全部否定してしまうという過度に考えるきらいがある。だから裁判もずっと続けてやったりする。本来は間違いを認めて反省して、次から間違いを犯さないようにしようというのが健全な形だが、官僚機構はそうではない。そういうものがしみついているのではないかと思う」と官僚体質が根底にあるのではないかとした。

 飯塚被告が事故直後、入院していたことを理由になかなか逮捕されなかったことで〝上級国民〟との見方があった。