【志賀貢 男の羅針盤】

【男のパワーを示す精力曲線】アメリカの社会学者モージス博士は、男女の性に関して、数十のチェック項目を用意して、重点的に統計調査をしました。アメリカ人の男女の精力に関する大変興味深いデータなので、ご紹介しましょう。

【男のピークは25歳】縦軸に精力の強さ、横軸に年齢を指標として、統計データを並べてみると、アメリカ男性の精力は25歳頃がピークとわかりました。それ以降は、山の頂上から転げ落ちるようにして、年とともに急激に精力は落ちていきます。そして40代、50代になると山の裾野のように低い曲線を描いて、それから数十年、精力は弱いままかろうじて持続します。

 このグラフを見ると、日本人男性も同じように老化してゆくと思われます。つまり、男性は結婚しようと思えば、25歳前後が最高の適齢期になりそうです。

【女性の精力は大岡越前守の母が語った通り】一方、女性の場合もモージス博士が推測しているので紹介しておきます。

 女性の精力が上昇するのは25歳過ぎから。そして、30~33歳頃にピークを迎え、その後は、男性と同じように年齢とともに減少し始めます。

 ただし、男性のように急激な、山から転げ落ちるような減り方はしません。40代、50代、60代と、わずかずつ減少して、そのまま70代、80代になっても衰えません。

 江戸時代、大岡越前守が母親に、「女性の性欲」について尋ねたところ、母親は黙って火鉢の灰を火箸でかき混ぜて見せたといいます。この言い伝えはデータを見る限り、世界共通の傾向ではないかと思われます。

 夫婦の和合を考えるうえでは、この男女の精力の年齢的な特徴を、よく知っておくべきだと思います。男性は40歳を過ぎると、とかく仕事に追われて、夜の生活をおろそかにしがちですが、女性は灰になるまで、夫の優しさと愛の交歓を望んでいると肝に銘じておかなければなりません。

 ☆しが・みつぐ 北海道生まれ。医学博士。昭和大学医学部大学院博士課程を卒業。臨床医として診療を行うこと50年超、現在も現役医師として日々患者さんに接している。文筆活動においてもベストセラー多数。性科学の第一人者にして、近年は高齢者の臨終や性に関しても健筆をふるう。美空ひばり「美幌峠」「恋港」などの作詞も手掛けた。