ドナルド・トランプ前米大統領が、11日に米フロリダ州ハリウッドで開催されるボクシング元ヘビー級王者イベンダー・ホリフィールド対UFCの元ライトヘビー級王者ビクトー・ベウフォートの試合で解説を務めることが発表され、物議を醸している。

今年の9月11日は米同時多発テロから20周年を迎える節目の日であり、バイデン大統領はジル夫人と共にテロの現場となったニューヨークの貿易センタービルなど3カ所を訪問することが発表されている。また、オバマ元大統領とジョージ・W・ブッシュ元大統領もそれぞれニューヨークとペンシルベニア州ジャクソンビルの現場を訪れることが決まっている中で、退任して初めて9月11日を迎えるトランプ氏が追悼よりもボクシングの試合の解説を優先したことにネットでは「信じられない」と批判の声が上がっている。

トランプ氏は、「私は素晴らしいファイターと、その戦いを楽しみにしている。土曜日の夜に両者と会い、リングサイドで私の考えを共有することを楽しみにしている。この特別なイベントをお見逃しなく」とコメントを発表している。

当日は長男のトランプ・ジュニア氏とともに解説することを楽しみにしているというが「誰がトランプのたわごとを聞くために(テレビ視聴料の)50ドルも払うというんだ?」と大手メディアに出演する批評家からも厳しい声が出ている。トランプ氏は当時ニューヨークの5番街に所有するトランプタワーの最上階に居住していただけに批判の声は収まりそうにない。 

同試合はもともとボクシング史上初の6階級制覇を果たした元王者オスカー・デラホーヤがビクトー・ベウフォートと対戦するはずだったが先週、デラホーヤが新型コロナウイルスに感染したことで出場を辞退。ホリフィールドに白羽の矢が立ったもののカリフォルニア州コミッションが許可しなかったため、会場をフロリダ州に移して行うことが急きょ決まった。トランプ氏は退任後、フロリダ州に住居を移している。(ロサンゼルス=千歳香奈子)