藤原季節(28)が14日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われたオムニバス映画「DIVOC-12」(ディボック-トゥエルブ、10月1日公開)完成披露試写会の壇上で、感極まって涙した。

「DIVOC-12」は、ソニーグループが20年4月に、新型コロナウイルスで世界各国で影響を受ける人々を支援するために設立した「新型コロナウイルス・ソニーグローバル支援基金」の基金を活用し、映像制作活動において大きな影響を受けるクリエイター、製作スタッフ、俳優の継続的な創作活動を支援する映画製作プロジェクト。企藤井道人監督(35)上田慎一郎監督(37)三島有紀子監督(52)の元に一般公募で選ばれた新人監督含めた9人が集い、3チームに分かれ製作した12本の短編映画を上映する。

藤原は、三島監督の「よろこびのうた Ode to Joy」に、富司純子(75)とともに主演した。ポスティングのパートと年金で1人ほそぼそ生きる75歳の冬海(富司)が海での散歩の途中、東北弁を話す優しい青年歩(藤原)と出会い、とある仕事に誘われ、怪しいと理解しつつも報酬にひかれ、お金と安心を得るため背徳的な仕事へと車を走らせる2人を描いた物語だ。

舞台あいさつの中で、三島監督は、富司が撮影の前日に演じる冬海の住んでいるアパートや働く場所を訪問して、その人生を想像して現場に入ったことを明かした。加えて藤原が、演じる歩が東北の南三陸出身という設定だったことを受けて、1人で南三陸町に行って「私は知らなかったんですが、1人で寂しい思いをして過ごしたらしい」と明かした。その上で「歩という人間を生んでくださって、ありがとうございます。きちんと、その人の人生を2人が生きようとしてくれたのは監督として、この上のない幸せ」と感謝した。

その言葉を聞いていた、藤原の涙腺は完全に崩壊した。右手で目頭を押さえ「いや…こうなる気がしていたんだよな、この作品のことをしゃべろうとすると…。舞台あいさつで泣くの、嫌なんだよな」と涙した。その上で「僕は歩という人物に出会わせていただいた。彼の持っている寂しさを少しでも理解したいなと思った。出会いの映画だと思っていて…監督と富司さんと出会うことができ、自分自身が救われました」と振り返った。

共演した富司については「僕は東映やくざ映画が大好きなんで(共演は)本当に震えるような思い」と喜びを口にした。その上で「富司さんは極寒の海ではいつくばって演技しているのを見て、本当にたくましく強く、でも当たり前に生きていこうとしている姿を見て…目や口に砂が入ろうが、気にせず演技を続ける富司さんを見て、とても心が震えました」と涙声で語った。