王者乱立の〝整理〟に本腰だ。世界ボクシング協会(WBA)は、8月に元6階級制覇王者を判定で破った、世界同級スーパー王者のヨルデニス・ウガス(キューバ)が120日以内に同級1位エイマンタス・スタニョーニス(リトアニア)と、同級正規王者のジャマル・ジェームス(米国)が今年11月末までに同級5位のラジャブ・ブタエフ(ロシア)と対戦する指令を出したと16日(日本時間17日)に公式ホームページで発表した。

 さらに勝者は来年3月までに統一戦を行い、最終的には同級の世界王者が1人になることを目指すという。WBAは「タイトル削減計画は組織の優先事項。トップランカーのファイターによる素晴らしい試合を行う絶好の機会だ」としている。スーパー王者、正規王者、暫定王者、ゴールド王者など世界王者の乱立で、長らくその価値や権威を損なわせファンや関係者の混乱を招いてきたことの反省もあるとみられる。

 ただ〝外圧〟の影響もゼロとは言えない。8月のウエルター級暫定王座決定戦での疑惑の判定などがきっかけとなり、米国ボクシング・コミッション(ABC)から組織運営の改革を迫られ、その中に王座乱立に対する抗議もあった。これを受けWBAは手はじめに暫定王者の廃止を打ち出すなど、同階級に複数存在する世界王座の削減に踏み切った。今回のウエルター級〝トーナメント〟もその一環というわけだ。

 同団体のヒルベルト・メンドゥーサ会長は「1階級1チャンピオン」をうたい「簡単な作業ではないが実行したい」と意欲を見せるが、実現させられるか。