「ゴルゴ13」で知られる劇画家さいとう・たかをさんが亡くなったことを受け、さいとうさんの漫画が原作の時代劇ドラマ「影狩り」に主演した俳優村上弘明(64)が29日、所属事務所を通じ追悼コメントを発表した。

以下、全文。

 

さいとうたかをさんといえば「ゴルゴ13」が有名ですが、私は30年ほど前に「影狩り」という作品で主人公の室戸十兵衛をやらせていただきました。日光、月光という相棒を引き連れ、馬で諸国を渡り歩く。いわゆる藩に雇われている隠密狩りです。

「ゴルゴ13」もそうですが、決して歴史の表舞台には出て来ない闇から闇に葬る汚れ仕事。彼らに共通するのは、幼少期、あるいは若い頃に負った拭い去ることのできない心の傷です。それを忘れる為に、あえて危ない状況に身を置き、その事で生を実感する。いわばはぐれ者です。さいとうさんの作品で、そこに理念を持たせたのが異質だと思われます。情ではなく、理念で動く人物に知性とロマンを託したのが、さいとうたかをさんの世界観のような気がします。さいとうさんと直接お会いすることはできませんでしたが、素晴らしい作品に出演させていだだけたことを感謝いたします。

ご冥福をお祈りします。

村上弘明