勝野洋(72)の初主演作として、日本テレビ系で1976年(昭51)10月から1年、放送され大ヒットしたドラマ「俺たちの朝」のその後を描いた舞台「浜辺の朝~俺たちのそれから~」(12日、俳優座劇場で開幕)制作記者発表が4日、都内で行われた。同作は、勝野の妻キャシー中島(69)が原案、長男の勝野洋輔(37)が出演と衣装、次女の勝野雅奈恵(39)が脚本・演出を担当と“勝野ファミリーが結集”して行う舞台の5作目となる。

勝野は「俺たちの朝」でオッスこと岩崎修治を演じた。オッスは、大学を中退して都内の下宿先を追い出され、向かった鎌倉で、カーコこと滝村麻子(長谷直美)、チューこと田口勇夫(小倉一郎)と男女3人で共同生活を行う。「浜辺の朝~俺たちのそれから~」は、その30年後を描く。「俺たちの朝」で、オッスはヨットで航海に出るところで終わる。「浜辺の朝」は、オッスがヨットで世界一周を経験し、戻ってきた鎌倉で、世の中になじめない迷子たちが集う浜辺の民宿カフェ「灯台」を営む物語。原作の脚本家・鎌田敏夫氏の了解を得て、その後を描いた雅奈恵は、DVDボックスを全て見て、脚本を書いたという。

原案の中島は「勝野と結婚して42年。(『俺たちの朝』は)結婚前に出ていて、何て下手っぴで、粗野で、ダサいんだろうと思っていた。長髪が流行っていたりジーンズでさっそうとしているのに、短髪で…まぶしくて見ていられなかった。鎌倉を舞台に一生懸命生きていて、忘れられなくて」と舞台化の動機を説明した。

勝野は「45年前…27歳から28歳。江ノ電の周りを1年間、走り回りました。いい思い出が出来て良かったと思いつつ、暮らしていましたら、妻からいきなり、舞台にすると。やめてくれと…。(ドラマを)自分の中で収めていた。それが舞台にしようと。本当に、困りました」と、最初は戸惑ったと明かした。その上で「次女が演出もする。ぶつかるし、極端な話、家庭崩壊すると思った。台本を読んだら、想像を超えていた」と語った。

その上で、ドラマから30年後のオッスの役作りについて「世界、どこを回っても自分に出来ないこと、いらだち、いろいろな不条理を感じ、傷つきながら帰ってきたと思う」と、世界一周の航海に出たオッスの心情を語った。その上で「自分に何が出来るかということを考えてカフェ『灯台』を開いた。利益ではなく、自分に何が出来るだろうか、というテーマがある。それは、昔の『俺たちの朝』にもあるけれど、いつも人のために、何が出来るかということを考える自分が、常にあるという、オッスの役作りをしています。それは僕の人生のテーマでもあります」と強調した。