14年のR-1ぐらんぷり王者、やまもとまさみ(47)が、来月6日に東京・渋谷のユーロライブで13年ぶりのひとり舞台「ビー・マイ・ベイビー」の昼夜公演を行う。「家族」をテーマ90分間全て、新ネタコントで勝負する。

きっかけはコロナ禍で仕事が減り、小学1年の次男・晃吉(こうきち)君に「パパ、ずっと家にいるよね」と言われたことだった。やまもとは「考えてみれば、小学4年の長男の莞吉(かんきち)と嫁も含めて、舞台上の芸人の姿を見せたことがないなと。家族3人に1度、舞台を見せて『パパの仕事だよ』って言ってやりたいと思ったんです」と話す。

R-1優勝前は、バイトを3つも掛け持ちする生活だった。「13年前の舞台はテレビ局のネタ番組の人に見てもらってプロモーションすることがモチベーションになってました。でも、その後は結婚して、単独ライブはコスパが良くないからとやってませんでした。今回はプロモーションよりも、家族に20数年間、芸人としてやって来たものを見せたいと思っています。本当は1回公演でもいいんですけど、コロナがどうなるか分からなかったので、50%ずつの客入れでも赤字にならないように昼夜にしました」。

先月いっぱいでネタ作りを終えた。現在は稽古をしている。「家族が寝静まってから、夜な夜なネタを書いていました。90分間の舞台で、共演者はまったくなし。6、7本のネタをやろうと思っていますが、1人コントはせりふの量がとんでもなく多くなる。せりふがとんで分からなくなっても、ばれずにせりふを変えてしゃべり続ける技術は持っているんですけどね(笑い)。ダンスを入れたり、映像や音を使って、今までにない新しいものをやろうと思っています。詰め込み過ぎずに、おなかいっぱいになるちょっと手前の笑いをね」と話している。

芸人の傍ら、17年にはクレープ店「ジェラフル小田原店」をオープン。今では町田店、相模大野店と3店舗のオーナーだ。「知り合いのクレープ店経営者がフランチャイズで増やしたいと誘われました。家族にも相談したら賛成してくれました。バイトをするとスケジュールが空かないし、シフトによって給料が左右される。雇用する側になれば生活も安定する。あくまでも副業で、芸人を続けるためにやっています」と言う。

名古屋出身。高校卒業後、ジム・キャリーのようなコメディー俳優を目指して上京。コロナ禍の今年は1、2月の「よみがえる明治座東京喜劇」、8月の「劇団ファイヤーヒップス大感謝祭~THAT'S バラエティーショー~」と舞台で、R-1王者ならではの実力を見せつけた。

「今は舞台を大切にしたいですね。これからは僕がプレーヤーじゃなくて、他の人が演じる舞台の台本も書いていきたい。等身大のコントでは、僕は、もう生徒役をできませんから。あと小説も書いてみたいですね」。

夢は、まだ続いている。【小谷野俊哉】

◆やまもとまさみ 1974年(昭49)2月21日、名古屋市生まれ。高卒後、コメディー俳優を目指し上京。劇団を経てマセキ芸能社のオーディションに合格してピン芸人に。09年「劇団ファイヤーヒップス」参加。14年から佐藤企画。趣味は子育て。180センチ。血液型B。