福田こうへい(45)が7日、東京・芝公園のメルパルクホール東京で昼夜2公演の「福田こうへいコンサート2021 10周年記念スペシャル」を開催した。民謡日本一の肩書を引っさげて、12年10月に「南部蝉しぐれ」で演歌歌手としてデビュー。10年で屈指の人気歌手となった。

昼夜2公演で開催された。新型コロナウイルス感染防止対策で、各公演に収容人数の半数の約750人が詰め掛けた。

公演は1部、2部構成で、1部はオリジナル曲とリクエストコーナーなどで構成された。オープニング曲は5日に死去した作詞家の里村龍一氏(享年72)が手掛けた「男川」。当初、違う曲が選曲されていたが、訃報を受け「感謝の思いを込め」(福田)、急きょこの日の朝に変更して歌ったという。

その後は日本作詩大賞の「天竜流し」、日本レコード大賞最優秀歌唱につながった「筑波の寛太郎」を連続して熱唱。客席は歓声こそなかったが、開演早々からペンライトが揺れ、大きな拍手が起きた。衣装替えして最新曲の「男の残雪」や「母ちゃんの浜唄」「北の出世船」のオリジナル曲も披露した。

ベストテン方式のリクエストコーナーでは「北の旅人」(石原裕次郎)「すきま風」(杉良太郎)「およげ!たいやきくん」(子門真人)「糸」(中島みゆき)「かえり船」(田端義夫)などバラエティーに富んだ楽曲を歌った。

圧巻だったのはリクエスト1位の「イヨマンテの夜」(伊藤久男)。ソーシャルディスタンスで半分の観客が、まるで超満員と感じるほどの拍手が巻き起こった。ナレーションを担当し、ゲスト出演もした徳光和夫(80)が「会場のペンライトが火祭りのようだった」と絶賛した。

2部では唱歌や童謡を織り交ぜ、ふるさとの岩手や東北を感じさせる演出が胸を打った。子ども時代のおかっぱ頭の写真がスクリーンに映し出されると、マスク越しの大きな笑いが起きた。クライマックスの「ねぶた囃子」では、福田が舞台中央で大太鼓を打ち鳴らして締めた。アンコールは来年元日に発売される新曲に収録される予定の「一番マグロの謳」を歌い、「これからも元気を届け続けます」と誓った。

福田は「10年はあっという間だった。親子3代で来ていただけるようになり、とても光栄です。10年、20年とこれからも(東日本大震災の)被災者の人はもちろん、自分の歌で元気をつけてもらえるように、頑張って1回りも2回りも大きな歌手になりたい」と誓った。そして節目の年末に、17年以来のNHK紅白歌合戦に「せひ返り咲きたい」と話した。