大人気ゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズの作曲家・すぎやまこういち(本名・椙山浩一)さんが9月30日に敗血症性ショックのため死去していたことが7日、分かった。90歳だった。

 すぎやまさんはフジテレビ退社後、フリーの作曲家となり、ザ・ピーナッツの「恋のフーガ」(1967年)、ザ・タイガースの「花の首飾り」(1968年)などを手掛ける売れっ子作曲家となると、1986年には「ドラゴンクエスト」第1作の音楽を務めた。

 当初、ドラクエの音楽担当ではなかったが、運命の出会いを引き寄せたのは「はがき投稿」だった。

「すぎやまさんはパソコンゲームが大好きで、当時、(ドラクエを発売する)エニックスの将棋ゲームをやりこんでいたところ『序盤の駒組が甘い!』とアンケートはがきに意見を書き込んでいたそうです」(出版関係者)

 そのはがきを妻が投稿したところ、エニックスの担当者が「すぎやまさんから、はがきがきた!」と慌ててコンタクトを取ったという。

「ちょうと当時のドラクエ開発陣はゲーム音楽に深みが欲しいと考えていて、売れっ子作曲家だったすぎやまさんと運命の出会いがあり、オファーをかけた」(前出関係者)という。

 当時のファミコンソフトは現在と比べて、圧倒的に容量が少なく、音楽データを詰め込むために、「いかに少ない音でハーモニーを作るか」など、相当の苦労があった。特に有名なレベルアップ効果音は「すぎやまさんは〝聞き減り〟しないように、奇をてらわないように気を付けた。時が進み、ケータイが普及し、着信音にレベルアップ音を設定している人を見ると、嬉しがったそうです」(テレビ局関係者)。

 また、趣味人で競馬も大好き。GⅠを含め東京競馬場、中山競馬場のファンファーレは、すぎやまさんが作曲したことはよく知られている。今秋のGⅠでファンファーレが鳴れば、すぎやまさんに思いを巡らせる人も多そうだ。