これが最後の〝佑姿〟だ。日本ハムの斎藤佑樹投手(33)が17日のオリックス戦(東京ドーム)に7回から救援登板し、引退登板。現役最後の1打席勝負は7球を投げて四球となった。

 試合終盤に、その時は来た。先発の上沢に代わり、7回から2番手として登板することとなった斎藤。登場曲「勇気100%」が球場に鳴り響く中、グラウンドの感触を確かめるかのようにゆっくりと、勝負の舞台へと歩を進めた。

 相手は熾烈な優勝争いを繰り広げている首位・オリックス。当然、忖度なしの真剣勝負となった。打席には福田。注目の1球目、129キロの直球が低めに決まると、これがストライク判定となり、スタンドからは拍手が巻き起こった。

 その後は5球を投じてフルカウント。1万人がかたずをのんで見守る中、勝負の7球目、全力で投じた125キロのツーシームは内角低めにわずかに外れ、結果は四球に終わった。

 華々しく空振り三振、とはいかなかったものの、一軍のマウンドで最後に真剣勝負ができた右腕の表情は晴れやか。ここで予定通り交代が告げられると、向き合ってくれた一塁側のオリックスベンチに深々と一礼し、最後には大きな声援を送り続けてくれた日本ハムファンへ両手を挙げて感謝の気持ちを伝えていた。

 降板後、斎藤は「最後の最後までみんなに迷惑をかけてしまいました。(堀)瑞輝が抑えてあの回を凌いでくれたので、本当によかったです。ファンの方々の拍手が、最後投げる力のあと押しをしてくれました」と、その後のピンチを切り抜けた後輩左腕に感謝。0点で7回を守り切ると、ベンチで涙を浮かべながらナインの帰還を迎え入れていた。