西武・松坂 イチローが唯一「同志」と呼んだ男「投球そのものというより存在が光る」
「西武2-6日本ハム」(19日、メットライフドーム)
今季限りでの引退を表明していた西武・松坂大輔投手(41)が19日、埼玉・所沢市内の球団事務所で引退会見を行った。その後の日本ハム(23)戦(メットライフ)では引退試合として先発のマウンドに立ち、1番に座った横浜高の後輩、日本ハム・近藤健介外野手(28)に四球を与えて降板。23年間のプロ生活に別れを告げた。
◇ ◇
松坂を思う時、記者が思い出すのはイチローの言葉だ。14年5月13日。ヤンキースのイチローは、メッツの2番手で好投し、シーズン初勝利を挙げた松坂を「同志」と呼んだ。
「大輔が背負(しょ)ってるものっていうのは人とは違うものがある。常に自分だけじゃない何かを背負(しょ)ってるでしょ、アイツ」
14年は松坂のメジャー最後のシーズン。自身の腰のケガで12年10月3日以来となる対戦が実現しなかったイチローは、マイナー契約から這い上がり、先発復帰を目指す右腕に熱いエールを送った。
「応援したいって言ったらおかしいけど、一緒に頑張りたい。なかなか『同志』という存在はいないけど、大輔は唯一かもしれないね、僕にとっては」
試合前のフィールドが日米報道陣でごった返した07年4月11日のメジャー初対決。初球126キロのカーブは忘れられない1球だ。
「投球そのものというよりも存在が光るわね。そのことがプロ野球選手として一番欲しいものだし、それが備えられないからみんな苦労する」
初対戦後、イチローがしみじみと言った言葉に松坂の魅力が凝縮されていた。(デイリースポーツ大リーグ担当・小林信行)