亡き恩師譲りの鋭い舌鋒が冴えた。リーグ3位の楽天・石井一久監督(48)が5日のCS前日会見で〝石井節〟をサク裂させた。

 まずは「ロッテさんということで本当に手ごわいチーム。ただ、自分自身、千葉県出身で、また3連戦の頭、少しではございますが、ロッテのお菓子の詰め合わせもいただけるので思い入れのあるチームだと思っています。素晴らしい戦いをして、勝ち上がれるように頑張りたい」と話して会見場の笑いを誘うと「あと井口監督に関してはいつも凛々(りり)しいので、その表情を崩せるように頑張る」と、横に座ったロッテ・井口監督を苦笑いさせた。

 大一番を控えたタイミングで〝先制口撃〟をお見舞いし、自らのペースへと引きずり込むこのやり方は…。球団周辺からは「この戦法は、まさにかつてのノムさん(野村克也氏)流のやり方」との指摘も飛び出した。

 名将・野村克也氏は、いわゆる「心理戦」を得意としていた。ヤクルト監督時代、1995年の日本シリーズでは対戦相手のオリックス・イチローに対し、メディアを使った〝口撃〟で内角を過剰に意識づけさせ、攻略に成功したのは有名。球団関係者は「野村さんの教え子だった石井監督は心理戦の重要性を分かっている。イジることでロッテ側をイラつかせようという狙いもあったはず」という。

 ポストシーズンの経験豊富な石井監督とあって、どんな手を繰り出すのか今後も見ものだ。