【東スポ音楽館】デビュー35周年のメモリアルイヤーとなる演歌歌手・坂本冬美が、情念のポップスを歌うコンセプトアルバム「Love Emotion」をリリースした。桑田佳祐が書き下ろしたシングル「ブッダのように私は死んだ」をはじめ“情念”をテーマにしたポップスを集めたアルバムだ。

 ――このアルバムが出来上がったきっかけは

 坂本「ここ数年、カバーアルバムを出していたんです。ラブソングシリーズだったり、ENKAシリーズだったり。次のアルバムはどうしようかっていうタイミングで、桑田さんから『ブッダ――』をいただいたんです。そういえば、今まで情念をテーマにしたポップスのアルバムを作ったことがなかったね、それなら作ってみようって話になったんです。『ブッダ――』がなければ生まれなかったアルバムですね」

 ――このアルバムでは『ブッダ――』のほかに10曲の“情念”の歌をカバーしていますが、お気に入りは

 坂本「CHAGEandASKAさんの『ひとり咲き』です。テレビで歌う機会もなくて、いつかアルバムに入れたいなと思っていたんです。今回の選曲で、この曲を入れたいって言ったら、周りのスタッフには『なんでこの曲を選んだの?』って聞かれたんですが、その場でちょっと歌ってみたら、『ハマるね~』ってみんなが納得してくれて、即決でした」

 ――レコーディングはいかがでしたか

 坂本「『ひとり咲き』もそうですし、平井堅さんの『哀歌(エレジー)』や大友裕子さんの『傷心』もですが、改めて魂の歌なんだなと歌ってみて感じました。情念の歌というのは、身も心も持っていかれちゃうっていう感じですね。歌い終わったら放心状態みたいな感じになりました」

 ――情熱的なアルバムに仕上がった

 坂本「コロナ禍で愛する人とハグすることもできない、もっとそばにいたくても、そばにいれない。そんな時代で、みんなが癒やしを求める中、こういう情熱的なアルバムを作るのはある意味、挑戦だと思うんです。でも、人を愛するということは忘れちゃいけないことだなと改めて感じました」

 ――35周年のこの1年間を振り返ってみて

 坂本「本来なら全国ツアーをやってリサイタルをやってという時期なのでしょうが、このコロナ禍ですからね。それでも2、3月と明治座で座長公演をやらせていただいたし、こうやって生演奏のアルバムを発表できるというのも幸せだなと感じてます。これから40年、50年とどこまで頑張れるかわかりませんが、いつまでも今回のアルバムのようにチャレンジ精神を持っていたいですね」