東京・武蔵野市議会に注目が集まっている。19日に第4回定例会が開会し、そこで外国人にも住民投票の投票権を認める条例案が審議される。この件が報道されると「外国人に武蔵野市が乗っ取られる」「実質的な参政権ではないか」などとネットを中心に反対論が噴出しているのだ。

 条例案では、住民投票の投票資格者を同市の住民基本台帳に3か月以上記録されている満18歳以上の住民とし、外国籍の者も含めるとされている。また、住民投票の請求に必要な署名数は、投票資格者の4分の1以上としている。

 この問題について、作家の志茂田景樹氏の息子で武蔵野市議を務める下田大気氏に解説してもらった。下田氏は2期目で、同条例案に対してはまだ賛否を決めていない。

 下田氏は「外国人の方に住民投票権を与えるという部分が、外国人参政権につながるんじゃないかと懸念を持つ人がたくさんいるのです。アリの一穴になるのではないのかと。ただ誤解している方もいますが、住民投票の結果に法的拘束力はありません」と指摘する。

 反対派の主張の中には、組織的に外国人が同市に送り込まれて、〝乗っ取り〟が行われるのではというものがある。

「松下玲子市長がツイッターで反論しているように、(大阪府の)豊中市が約10年前に似た条例を作っていて、それでも外国籍の住民の数がほとんど変わっていない。乗っ取られることは現実的にはないかもしれないが、ゼロとは言えない。冷静に判断したい」

 一方、賛成派の意見は「多様性とか住民の市民参加というような部分ですね。いろいろと市に提案できたり、市も民意を分かりやすく取り込めるというメリットがあります」と下田氏は言う。

 すでに自民党会派は反対を決めている。

「市長与党と呼ばれる人たちは賛成でしょう。あとは公明党がどうするか。公明党が賛成なら、可決になる可能性が高い」

 同条例案は12月中旬に審議と採決が行われる予定だ。