米国務省は先日、台湾との2回目の経済対話を開くと発表した。台湾外交部(外務省)によると、オンライン形式で23日に開催する。フェルナンデス国務次官(経済成長、エネルギー、環境担当)が米側の代表を務め、サプライチェーン(供給網)構築に向け協力強化を図る。台湾側は王美花経済部長(経産相)や呉政忠科学技術部長(科学技術相)が出席する。

 中国が軍事、外交、経済面で台湾への圧力を強める中、バイデン政権は台湾との経済協力を促進して後押しする。中国は反発するとみられる。

 台湾統一に向け、台湾上陸を想定したとみられる軍事演習や台湾の防空識別圏への進入を加速させる中国。武力を使った統一を辞さない構えだが、台湾の市民に向けては経済状況の向上などを掲げ、心理的な懐柔策を行っているという。

 中国北京市共産党委員会の機関紙・北京日報は先日、「台湾統一後、台湾市民の年収は2万元(約8万円)向上」とのタイトルで記事を配信した。

 ユーチューブチャンネル「地球ジャーナル ゆあチャン」で日中の情報を発信している中国人ジャーナリストの周来友氏はこう語る。

「中国メディアによると蔡英文政権が発足してから、台湾は中国との軍事衝突に備え軍事費の支出が増加しており、2022年の防衛予算は4717億台湾ドル(約1兆8600億円)で、その後、追加もありました。また、機密費と外交費として台湾は毎年1500億~1600億台湾ドル(約6000億~6400億円)を支出しているとのこと。そこで中国メディアは『中国が台湾を統一した場合、こうした費用が台湾市民に還元され、市民の年収を向上させることができる』と報じているのです」

 また、中国政府機関紙の人民日報は、21日付の記事で「台湾独立勢力がいかに真実をねじ曲げようとも台湾が中国の一部であるという歴史的事実は変えることはできない」と主張している。

 周氏は「中国は武力だけでなく、心理的懐柔戦略を用いてインターネットを通じて台湾市民へ呼びかけています。両国の隣国である日本はこうした中台間の心理戦にも注視していくべきではないでしょうか」と指摘している