【志賀貢 男の羅針盤・実践編】

「第8回 コロナ下だからこそ、男はVフェロモンにあやかって健康長寿をめざせ」


 動物の多くが発情期になると、パートナーを見つけるために独特な臭いを発散することは、よく知られています。

 なかでも有名なのは、ジャコウジカの雄の性腺から分泌される臭いの成分で、「ムスク」と呼ばれ、かつては有名な香水の原料としても使われてきました。

 しかし、こうした発情期の発散物質は、サルの仲間までは突き止められていたのですが、人間にはそうした現象は起こらないと考えられてきました。しかし、今世紀に入って、人類にも実は発情物質が存在することが発見されました。

 それは、Vフェロモン(膣フェロモン)と呼ばれる臭いの成分で、女性の性器の一部から、排卵の時期になると分泌されるとわかりました。臭いの成分は、脂肪酸の一種でチーズの臭いに似ています。

 男性は無意識のうちに、この芳(かぐわ)しい臭いに誘われるようにして、愛を告白するパートナーを見つけているのでしょう。

 ところで、このVフェロモンは、男女の愛をはぐくみ、子孫繁栄のために役立つだけではありません。この甘く切ない香りは、男性の体の生理状態を正常に保つためにも大変役立っています。

 つまり、男は健康長寿をめざすなら、愛する女性と共に一生を送ることが大切なのです。まして、新型コロナの攻撃が止まない時代には、男女がお互いに慈しみあうことがコロナに勝つコツでもあります。

 ちなみに、女性の生理を安定化させるのは、男性の汗の臭いの成分のエクリン腺とアポクリン腺の分泌液です。女性は、男が汗をかいて働いている姿を見て、心と体の安定を得ているわけです。自然の摂理とは、実に巧みにできていると思いませんか。

 今夜から、愛する人の香りを長寿の香水として味わうことをおすすめいたします。

 ☆しが・みつぐ 北海道生まれ。医学博士。昭和大学医学部大学院博士課程を卒業。臨床医として診療を行うこと50年超、現在も現役医師として日々患者さんに接している。文筆活動においてもベストセラー多数。性科学の第一人者にして、近年は高齢者の臨終や性に関しても健筆をふるう。最新刊は「コロナワクチン3回目打ちますか? 医者の私が接種しない理由」。