【今週の秘蔵フォト】フォーク、ロック界のスーパースター、ニール・ヤングは御年76歳にしていまだに現役である。毎年新譜を出し、過去のアーカイブも年平均2~3枚はリリースしており、元気どころかファン泣かせの精力的なミュージシャンである。

 1976年3月3~11日に初来日を果たし全国で7公演を行い、10日と11日には日本武道館のステージに立った。驚いたことに本紙は来日直後の3月1日、ニールにインタビューを敢行している。69年にバッファロー・スプリングフィールドを解散後、70年に歴史的名作「アフター・ザ・ゴールドラッシュ」と72年に「ハーベスト」を発表して時代の寵児となり、ちょうど新作「ズマ」を発表した直後、待望の初来日だった。

「前から日本に来たかった。武道館で一度やりたかったんだ。(スタジアムのような)大きな会場はコミュニケーションがなくて好きじゃない。何万人という会場を満員にするのはロックじゃなくてロックビジネス。100%コンサートを成功させるには小さいホールにこしたことはないと思っている」と、現在まで貫いている“哲学”を語る。

 バッファロー結成時の66年に故郷カナダからロスまで機材を霊柩車に積んで載せて走ったという有名なエピソードについて聞かれるや「別に死体を運んでいたわけじゃない。霊柩車はスペースが広いし、引き出しなんかもついていて楽器を運ぶのに便利だったんだ」と笑いながら語った。

 日本女性や芸者の話題をふられても乗ることはなく「それよりもさ、日本にも古くから伝わる音楽がある。表には出ない地味なやつが。そういうものを吸収したい」と“求道者”らしい表情で話した。

 約50年も姿勢がぶれない信念にはボブ・ディランと通じるものがある。12月には盟友クレイジー・ホースとの新譜「バーン」が発売されるが、現在進行形のニールを体感できそうだ。