中日は29日、与田剛前監督(55)と「球団エグゼクティブ・アドバイザー」(EA)として来季契約することを発表した。

 2019年に監督就任し、1年目は5位だったが、翌20年は3位に入り、チームを8年ぶりのAクラスに導いた。しかし、今季は再び5位に低迷すると、成績不振の責任を取ってシーズン終盤に自ら辞任を申し出て、今季限りの3年契約満了で退任していた。

 球団はこれまでの与田前監督の功績を評価。就任1年目のオフにはR・マルティネスの残留交渉のため、現地まで飛んでキューバ政府の要人と親睦を図るなど2年契約を結ぶことに成功し、今季は12球団トップの防御率3・22を誇る投手陣にまで整備した。

 加藤宏幸球団代表は与田EAについて「意志決定を行う権限は持たないが、他球団ではこういうことをやっているとか、野球のことはもちろん、野球以外の営業面など、グラウンド内外で気づいたことをアドバイスしてもらう。常勤ではないので評論家活動を行っても問題ない」と説明する。

 さらに与田前監督といえば、ドラフト会議で2018年は4球団競合の根尾、翌19年は3球団競合の石川昂と〝黄金の右腕〟で当たりくじを引き当てた強運の持ち主。それだけにチーム内では今後も〝くじ引き担当〟として手腕を発揮してほしいと熱望する声が高まっていた。

 しかし、加藤代表は「常勤ではないので、今後(与田EAに)くじを引いてもらうことはない」ときっぱり否定。その上で「強運の持ち主で一流選手を取ってくれたことは感謝したいが、根尾、石川昂弥とも監督時代には花を咲かせることはできなかった。これからはEAという立場で立浪監督や球団を支えてほしい」と語った。