ソフトボール日本代表のエースで東京五輪金メダルの上野由岐子が、苦悩と喜びを味わった1年を振り返った。

 8日に都内で行われた「ゆうもあ大賞」の表彰式では、五輪種目から外れても笑顔を絶やすことなく復活した東京五輪での活躍がみんなの心を明るくしたとして同賞を受賞。上野は「ユーモアという言葉だけを取ると私は面白いことを言えるほうではない」としつつも「明るい話題や笑顔というキーワードを拾っていただいて、私自身は試合を見て感じてもらえたことがうれしい」と率直な感想を語った。

 2008年北京五輪以来の頂点だったが、大会前は複雑な思いを抱いていた。「(開催については)賛否両論で本当にいいのかなという思いだったり、でもやりたいという思いだったり、本当に選手自身も葛藤する時期があった」。それでも「無事に開催してもらえてたくさんの人に喜んでもらえてよかった」と、記録にも記憶にも残る時間を過ごし、大きな達成感を味わった。

 3年後のパリ五輪では再び外れるが、28年ロサンゼルス五輪での実施を信じて前を向いている。上野は「そこに向けてソフトボール界として進んでいかないといけない」ときっぱり。「私自身が選手でというのはだいぶ厳しくなってくるんじゃないかな」と本音をこぼしながらも「やっぱり若い選手も出てきているので、しっかり目指していきたい」と力を込める。

 まだまだ現役で腕を振る上野。「この盛り上がりを来シーズンも続けていけるように、また来年も注目してもらえるように、明るい話題を提供できるように頑張りたい」と語った。