東京・歌舞伎座「三月大歌舞伎」(3月3~27日)で5代目中村雀右衛門(じゃくえもん)を襲名する中村芝雀(60)が襲名への意気込み、父で4代目中村雀右衛門さん(12年91歳で死去)への思いを語った。

 雀右衛門は女形の大名跡で4年ぶりの復活となる。初日まで2週間と迫る中でも、笑みを絶やさない。父愛用の品々がお守り、カンフル剤になっている。取材当日は、父が使っていたロレックスを身に着け、「父が役者として上っていく時に着けていました。父の思いを身に着けることで、少しでも近づければ」と話した。修理中の鏡台は披露興行から使う。2人で並んで化粧をしていた時のことなどを思い出し「『芸がまだまだなんだから、きれいじゃなくちゃいけないよ』なんて言われました。いい中村雀右衛門になったね、と言われるよう、今まで以上に頑張りたい」と話した。

 父の当たり役「鎌倉三代記」の時姫、「祇園祭礼信仰記 金閣寺」で雪姫を演じる。三姫の残り1つ「本朝廿四孝」の八重垣姫は6月の博多座で演じる。【小林千穂】