声優石原夏織が10日、東京・新宿バルト9で行われたアニメ映画「さよなら、ティラノ」(静野孔文監督)初日舞台あいさつで、同作に出演も18年8月に67歳で亡くなった、石塚運昇さんとアフレコブースで一緒になったことを「忘れられない思い出」と振り返った。

「さよなら、ティラノ」は18年に製作され、20年初夏に公開予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて同5月に公開延期が発表され、今年8月に公開日が12月10日に決定。石原は、劇中で翼があるのに空を飛べないプテラノドンの少女プノン、石塚さんはトリケラ村のケラおじいさんを演じた。

石原は「私自身、石塚さんとご一緒にアフレコすることはなかったんですけど、ありがたいことに、演じられる姿を同じブースで後ろから見させていただいた」とアフレコを振り返った。その上で「小さい頃から聞かせていた声で『石塚さんだ…』と。包み込むような優しさで、時に諭すような演技でジーンときた。本当に幸せで忘れられない思い出」と語った。

ゴルゴサウルスの手下ルッチ役の森川智之も「(石塚さんとアフレコは)ずいぶんやった。亡くなられてから3年たって、新作が出るのがすごい。我々、声優業界で、いないんじゃないですか? レジェンド。天国でゴルフをしながら見ている…草葉の陰で」とたたえた。ゴルゴサウルスの手下ゴッチ役の檜山修之は「フェアウエーの陰で」と補足した。

静野孔文監督は、石塚さんに対し「一族を代表する特別な、ストーリーの鍵で活躍下さる方。石塚さんの中で解釈していただいてストーリーボード、台本にない魅力を作ってくださった。感謝します」と感謝した。

「さよなら、ティラノ」は、シリーズ累計200万部超の、宮西達也氏の絵本“ティラノサウルスシリーズ”の「ずっとずっといっしょだよ」「わたしはあなたをあいしています」「わたししんじてるの」(ポプラ社)を原作に日本、中国、韓国の合作で製作し、手塚プロダクションがアニメーション制作を担った。