先日、作家でタレントの岩井志麻子さん(56)を取材した。作家デビューから35周年を迎えたことで、日刊スポーツなどの取材に応じたもの。

これまでも数多くの作家を取材してきたが、志麻子さんのサービス精神ぶりといったら、頭が下がる思いだった。

グループインタビューの前に写真撮影を行ったのだが、登場スタイルは網タイツのヒョウ柄バニー。ジェンダーの表現は気にしなければいけないが、男女を含めて、年齢を重ねると、そのスタイルが多少ふくよかになるのはいたしかたないところ。それでも、志麻子さんは、そんな思いすら笑いにかえようとする意気込みが感じられた。

志麻子さんはホラー作家として各賞を受賞する一方、エロくて変なおばちゃんキャラやエロい赤裸々トークが受け、タレントとしても活躍する。

ところが、昨年からのコロナ禍で、レギュラー番組が次々となくなり、月の収入が5万円になった時もあったという。

「テレビがないと、私の作家としての価値はこんなものなんだと実感しました。個人事業主なので給付金をいただきました。そのとき、テレビがなくても生き残ろうと、作家として気合を入れて書きました」。その作品が今年6月に発売された「でえれえ、やっちもねえ」(角川ホラー文庫)で、「好きな小説が書ければ、動じることはないと思いました。極端な言い方をすれば、逮捕されても小説は書けますからね。コロナでテレビの仕事はなくなりましたが、コロナのおかげといっては何ですが、いい作品が書けました」。

作家とタレントという二足のわらじだからこそ、そのトークはおもしろい。いろいろな方面への配慮は当然あるが、タブーもないし、忖度(そんたく)もない。だから、グループインタビューの際は、笑いの連続だった。

写真撮影の際、35年前の写真が用意された。清純さが残る写真とのアンバランスを強調したかったのだろう。いつの写真かと聞くと、北朝鮮に渡航する際のパスポート用だったという。「そのころから時代を先取りしていたというか、朝鮮半島に興味があったのかもしれません」。

北朝鮮という言葉を聞くと、新聞記者歴が長い人ほど身構えると思う。ちょっと前まで、原稿に北朝鮮という言葉を入れる時には、初出の際に朝鮮民主主義人民共和国という名称も併記しなければならなかったからだ。

でも、志麻子さんのトークはそんな私の緊張感をもはじき飛ばす。

「しょっぱなの男が在日朝鮮人の男だったんですよ。焼き肉店の2階にその男性の部屋があったんですが、その部屋には肖像画が飾ってあった。この人誰? と聞くと、おじいちゃんというんです。それで、北朝鮮に行くと、ホテルの部屋にやはり肖像画が飾ってあって、その当時の金日成主席で、あの時と同じ肖像画でした」。

志麻子さんは08年に、韓国人のジョン・ウォンさんと再婚。「21歳の時に北朝鮮に旅行したんですが、韓流ブームを先取りしたというか、最初の男も含めて、何かそういう縁だったんでしょうね」。

エロトークも志麻子さんならではだ。来年から「週刊大衆」でエロ系の新連載を始めるといい、挿絵を担当するのが盟友の漫画家の西原理恵子さんだ。取材の際もいくつかのエロネタを語ってくれたのだが、その中で最もおもしろかったのが「乱交ねるとん」。

もちろん、志麻子さんが直接参加したのではなく、仲のいい番組スタッフから仕入れたネタだ。当然、非合法なのだろう。フジテレビ系で放送されていた「ねるとん紅鯨団」の乱交バージョンで、テレビでは花束を渡して交際を申し込むが、こちらはコンドームを手渡すのだという。

このスタッフが、ある女性に申し込んだところ、「ちょっと、まったぁー」と第三者が現れたという。その勢いに押されて、辞退しますと言ったところ、その男は「何いってんだ、3Pすればいいじゃないか」とコブシを掲げたという。すると、申し込まれた女性も「3Pー。いいじゃないー」って。

あくまでも伝聞の伝聞なので、どこまでが事実なのかは確認できないが、トークがばかうけしたことだけは事実だった。志麻子姉さんが、いつまでも元気でいることを願いたい。