16年「君の名は。」、19年「天気の子」で知られる新海誠監督(48)が15日、都内で会見を開き、3年ぶりの新作として「すずめの戸締まり」を製作し、22年秋に公開すると発表した。

「すずめの戸締まり」は、日本各地の廃虚を舞台に、災いの元となる“扉”を閉めていく17歳の少女・鈴芽(すずめ)の、解放と成長を描くロードムービーとなる。すずめ役について、新海監督は「まだオーディションもしていなくて決まっていない」と明かした。

この日は、日本の歴代興行収入ランキング5位の250億3000万円を記録した「君の名は。」の主人公の宮水三葉を演じた上白石萌音(23)と、同141億9000万円で13位の「天気の子」のヒロイン天野陽菜を演じた森七菜(20)が駆けつけた。新海監督は「僕の方から(ヒロインの声優が決まっていないので)助けて欲しいと(スケジュールを)探ってもらった。本当にお付き合いいただき、ありがとうございます」と2人に感謝した。

一方、上白石は舞台裏で「七菜ちゃんと言った…受けようって」と、森と「すずめの戸締まり」のオーディションを受けたいと語りあったと明かした。新海監督は「君の名は。」で立花瀧を演じた神木隆之介からも、新作のオーディションを受けたいと言われた過去を明かした上で「おふたりが来たら、パニックになっちゃう。オーディション、強そうだし」と笑った。森は「私と上白石さん、どっちを選ぶんやと。先輩ですけど、無礼講で…」と笑った。

「すずめの戸締まり」の企画開発は20年1月から同3月、脚本は同4月から6月まで執筆と、新海監督はコロナ禍の中「企画を考えて、外に出ずコンテを描いた」形で製作を進めてきた。主人公の、すずめを描く中で、森と上白石の声が聞こえ、2人との共通点も生まれたという。森が「私のこと?」と聞くと、新海監督は「萌音ちゃんは鹿児島、七菜ちゃんは大分ご出身。書き始めた時は、七菜ちゃんの声が聞こえ(ロードムービーなので)旅が進むと萌音ちゃんの声が聞こえた」と笑みを浮かべた。

新海監督は2人に、すずめ役を選ぶことについて「どのように探して、どうしたらいいかも2人に聞きたい。僕自身、受けたことがないオーディション…何を見て惜しい? 声優さんがいいか、女優さんがいいか」と指南を申し出た。上白石が「枠を設けず、いろいろな声を聞きたい…私は」と答えれば、森も「私が監督だったら…1こ、気になったのが、以前の作品は監督の夢、理想が乗っている気がする。それがヒロインを素敵に輝かせる」と語った。

新海監督は「戦う女の子…ガードレールを跳び越えないといけない。そういうアニメーションを描いてきていない。17歳の頃の2人なら、どれくら超えられるか…僕には分からない」と、アクションシーンも含め、すずめというキャラクターの理解が、まだ自身の中で及んでいないと吐露した。同監督は、キャステcシングした2人が演じる中でキャラクターについて教えられたことがあったとした上で「オーディションで、すずめを教えてくれる人と出会えば、腹に落ちてくる。教えてくれる人と出会いたい」と語った。