東京五輪で卓球混合ダブルス金を含むメダル3個を獲得した女子の伊藤美誠(21=スターツ)が、〝心の変化〟とともに1年を振り返った。

 今年はコロナ禍で1年延期となった五輪の混合ダブルスで頂点に立つと、シングルスで銅、団体で銀メダルを獲得。その後、先月の世界選手権個人戦では早田ひな(日本生命)と組んだダブルスで2大会連続銀メダルを手にするなど世界に実力を見せつけた。そうした中、16日に都内で開かれた所属の「大会報告と感謝の会」に出席した伊藤は、自身の1年を表現する漢字を問われると「2文字になってしまうんですけど…」と回答し、次のように語った。

「五輪までは『楽』という字。五輪前から本番のために頑張れるのがうれしくて、終わった後も金、銀、銅(メダル)が取れて試合自体も楽しかった」

 ところが、大舞台を終えると一転したという。「そこから中国人選手に勝つにはどうしたらいいかというときに、すごく濃い練習ができていたけど、試合に勝てるかというと難しくて。苦しくて頑張っている漢字があった。あんまり苦しいという言葉は使わないけど『苦』だったり『迷』が思い浮かんだ」

 伊藤自身、迷いを抱えたまま世界選手権を戦っていたようで「練習自体はすごくよかったけど、だったらやってきたことをやり通せばよかったなと。中途半端になってしまった部分があった」と話した。

 それでも、帰国後の隔離期間で自分を見つめ直す時間があり「今は悩み事はないです。何て言えばいいんだろう…。スッキリってどういう漢字がありますかね?」と、周囲の笑いを誘う余裕もあった。

 来年1月には全日本選手権が控える。シングルスで3年ぶりの優勝に期待がかかる伊藤は「気持ちの整理ができた。(全日本が)心から楽しみ」と力強く語った。