フィギュアスケートの北京五輪代表最終選考会を兼ねる全日本選手権(さいたまスーパーアリーナ)のアイスダンスは23日、参加4チームによるリズムダンス(RD)が行われ、〝かなだい〟こと村元哉中(28)&高橋大輔(35=ともに関大KFSC)は63・35点で2位。練習でもミスがない場面で転倒するアクシデントが響いた。五輪1枠を争うライバルの小松原美里&尊(倉敷FSC)は小さなミスがあったものの大崩れなく68・16点で首位発進。4・81点差で25日のフリーを迎える。

 リズムダンス「ソーラン節&琴」は公式練習と違って赤(村元)と黒(高橋)の衣装。NHK杯、ワルシャワ杯と驚異の進化を続けてきたが、最終選考で思わぬ〝落とし穴〟が待っていた。ステップの場面でタイミングが乱れ、2人揃って転倒。後半はそつなくこなしたが、得点を待つ間、高橋は天を仰いで悔しがった。

 試合後、取材スペースに現れた2人はいつものように笑みを浮かべていたが、出てくる言葉は悔恨に満ちていた。

「普段、練習でもしたことがないミスが出てしまった。悔しい気持ちでいっぱいです」(高橋)

「ホント悔しい。やっちまったって感じですね」(村元)

 原因は微妙な呼吸のズレだった。高橋は「ちょっとお互いの行く方向が違ったところでぶつかってしまった。不安要素が高いところではあった」と振り返り、村元は「私が大ちゃんの読みを間違えて…。慎重に行き過ぎた結果」と付け加えた。「慎重に…」という気持ちが強すぎ、逆に普段と違う意識が働いたようだ。

 その背景には、2年前の結成時から目標に掲げてきた北京五輪への思いもある。村元は「全日本選手権って特別な空気感。たぶん緊張していたのかな」と口にし、高橋は「今日は僕の方が緊張していた。北京っていうのは頭のどこかにあったし、気負いも。いろんなものが重なって緊張感が高かったかな」と自己分析した。

 フリーへの巻き返しに向け、高橋は「失うものはない。攻めた気持ちで思い切りやれれば」、村元は「あまり何点差とか考えず、自分たちの演技をするってことだけに集中したら結果はついてくる」と意気込む。

 アイスダンスは全日本最上位、世界ランク最上位(小松原組)、今季世界ランク最上位(かなだい)、国際スケート連盟(ISU)の今季最高得点の最上位(かなだい)から総合的に選考される。果たして、最後に笑うチームはどっちか?