2度目の北京五輪が来年2月に迫ってきた。人権問題で各国から外交ボイコットが相次ぐ中でも、中国政府はメンツにかけて強引に推し進め、〝成功〟を叫ぶだろう。世界に経済発展をアピールしたい前回の2008年北京五輪も、その意地を感じる珍現象の連続だった。あれから14年、どんな変化が見られるか。開幕前に、当時を振り返ってみたい。

〈人工降雨ロケット発射〉大気汚染が深刻で、選手の参加取りやめも話題になった。強引にも、中国政府はロケットを打ち上げ、空中に必要物質を散布することで雨を降らせ、汚染物質を洗い流す手に出た。滞在中、何度か経験し、突然ザーッと雨が降ると「ああ、明日晴れだな」とわかった。

〈クレームで食堂全品半額〉カネにものを言わせる、メディアサービスもあった。東京五輪では、食堂の値段の高さと味にクレームが付いたが、それは北京も同じ。しかし、北京はクレームが話題になった翌日に、全メニューが一気に半額以下に値下がりした。

〈トイレ常駐清掃部隊〉当時は中国のトイレと言えば汚い、くさい、だった。きれいなトイレをアピールするため、常駐掃除ボーイ、ガールが張り付くことに。必ず誰かがいて、床やトイレ、洗面台をマメにをピカピカ磨きあげるのだ。きれいなのはいいが、常にドアの向こうで待たれていると、落ち着いて用を足せないという声が続出した。

〈中国公安VSアニマル浜口〉大会成功のため、要注意人物として〝ロックオン〟されてしまったのが、浜口京子の父・アニマル浜口氏。年アテネ五輪で観客席で〝暴れた〟ことや、北京の空港「ワッハッハ」とやり要注意人物に。市内では中国公安(警察)が徹底マーク。日本大使館の関係者からも、ホテルで「期間中はなるべくお静かに」とお願いされてしまった。試合会場では、公安が数人近くでにらみを利かせ、少しでも動けばピリリと緊張感が走る異様なムード。結局、試合後「(2012年)ローンドン!」コールをやってしまったのだが…。

〈娼婦、出稼ぎ労働者が消える〉期間中は北京中心部から、地方からの労働者や娼婦が追い出された。中国名物ニセモノグッズも、期間中は規制強化。工事現場は大会のポスターで覆われ、完全にお化粧直しされた。

 メンツにこだわる中国。2月、再び北京の地で、どんな珍現象が起こるだろうか。

(一般スポーツ担当・中村亜希子)