大みそかの格闘技イベント「RIZIN.33」(さいたまスーパーアリーナ)で、スタンディングバウト特別ルールで〝キック界の神童〟那須川天心(23)と対戦することになった〝火の玉ボーイ〟こと五味隆典(43)が意気込みを語った一方で、なぜか榊原信行CEO(58)と〝場外戦〟を繰り広げた。

 12月上旬になって那須川の対戦相手の筆頭候補だった吉成名高戦が消滅したことから、試合の約2週間前に急きょのオファーを受けリングに上がることを決めた五味は「なんでここにいるのか分かってないくらいですが、正直、なんて言うんだろう…」とした上で、最近感じていた率直な思いを語り始める。

「今回も同じ階級の選手とか、自分でやりたいというような選手もいる中、やっぱり年齢や体力を考えると正直、現実的でないし。例えば選手をジムで指導している時も『どうしたら(自分が)トップの(ホベルト)サトシ(ソウザ)選手に勝てるだろう』とか『俺もこのトレーニングをすればサトシ選手に届くかな』とか思い続けてるんですけど、それが現実的かと言えば違うわけで」

 それでも2週間前に那須川戦のオファーを受け「ようやく1年終わって『さあ飲み行くか』というところだったんですが、天心とエキシビションということで。少しでも20年前の動きに近づけられれば。練習してます。一生懸命体重も絞って」と再び闘志に火が付いたという。

 試合形式はボクシングに準じたキック禁止の立ち技戦で「僕が格闘技を始めたきっかけがボクシングだったのでうれしいですし、天心も来年の(武尊との)大きな試合を終えればボクシングに転向すると言うことで、今できる唯一の形かなという思いはあります」と意気込んだ。

 会見の終盤にはやおら真ん中に座る榊原CEOに向き直り「今回無茶な対戦を受ける条件として、僕もその(那須川と武尊が対戦する6月の)メガイベントに出場させていただくという約束と契約をもらっています。そこでどうしても戦いたい人がいるんです」とぶちまける。そして「榊原さん、6月、やりますよ。柔術でもキックでも。榊原さん! おれは2週間でもやるんだから。半年あるから。選手の気持ちがわかるように。俺と天心より榊原さんの方が年近いんですから」と突然の対戦要求だ。

 これに榊原CEOからは「6月はこの後RISEさん、K―1さんとアンダーカード組んでいくんですけど、五味隆典参戦あっていいんじゃないかと。冗談は冗談で置いておいて、しっかり相手も準備して。表に出ると優等生なのに、裏だとなんであんなひどいことを言うのかなと思うんですけど…。(今回のオファーを受けて)感謝しているから、この男が戦う機会は作る」との返答。

 さらに「(相手は)僕じゃなくて。60近い親父とやってもしょうがないじゃないですか」と言われると「それは俺と天心でもそうでしょ。俺がデビューしたのが20歳だからちょうどその時生まれてるわけでしょ」と返し、五味ワールドを展開するのだった。