中村芝雀あらため5代目中村雀右衛門(60)の襲名披露興行が3日、東京・歌舞伎座「三月大歌舞伎」(27日まで)で始まった。

 夜の部の口上では、坂田藤十郎(84)松本幸四郎(73)中村吉右衛門(71)片岡仁左衛門(71)らがずらりと並び、雀右衛門は「この後は先祖の名に恥じませぬよう、芸道に精進させていただきますれば、ご指導、鞭撻(べんたつ)のほど何とぞ、お願い申し上げます」とあいさつした。

 相手役をつとめることが多い吉右衛門は「このようにおめでたいことはございません。雀右衛門さんとは、手を取り合って歌舞伎の修業をしてきました。ともに手を携え、歌舞伎の発展に尽くしていきたい」と口上を述べた。

 仁左衛門は「先代は舞台では大変古風でしたが、普段は現代的で、革ジャンで単車を乗り回していらっしゃいました。当代にそのようなことを望むのは無理でございます」と笑わせ、「芸の上ではおじさまの薫陶を受けられ、うれしい限りでございます」。

 この日の開演前には、雀右衛門が劇場前で鏡開きを行った。

 今月、雀右衛門は「鎌倉三代記」の時姫に初役で挑んでいるほか、「祇園祭礼信仰記 金閣寺」で雪姫を演じている。三姫と呼ばれる役のうち2つをつとめ、残り1つの「本朝廿四孝」の八重垣姫は、6月の博多座で演じる。