V奪回に必要なものは…。リーグ3位に転落した巨人が助っ人補強を進める一方で、現有戦力のレベルアップも欠かせない。村田修一打撃兼内野守備コーチ(41)がV逸の一因に挙げたのは、決定力を欠いた〝寸止め打線〟。得点圏打率はリーグ5位の2割3分6厘に低迷し、効果的に得点を生むことができなかった。そこで村田コーチが掲げた打開策とは――。 

 覇権奪回へ、課題の洗い出しは欠かせない。常勝を義務づけられながら3位に終わり、村田コーチは「やっぱりランナーがたまった後じゃないですかね。そこそこ(走者は)出るけど、あと一本。得点圏での最後の仕事があまり効率よくできなかった」と敗因を指摘した。

 肩書こそ野手総合コーチから変わっても、引き続き打撃部門に携わる。ベンチから鋭い視線を向けてきたが、とにかく勝負どころで〝ここぞの一打〟が生まれなかった。チャンスはつくっても適時打が出ずに結局は無得点。ビハインドの展開からどうにか追い上げても、やはり「あと一本」が出ないまま敗戦…。そんな試合が繰り返され、原監督ら首脳陣も「あと一本が…」と何度口にしたか数えきれない。

 本塁打数そのものは169本でぶっちぎりのリーグ1位ながら、総得点は552点でリーグ4位。何よりも2割3分6厘の得点圏打率は同5位。リーグ優勝、日本一を飾ったヤクルトの2割6分(同3位)とも大きな開きがある。

 この点が取れそうで取れない〝寸止め〟を解消するには何が必要か。村田コーチはこんな心構えを説いた。

「なぜできなかったのか、どうすればいいのか、何を改良するのかというのは個々で配球を見れば分かると思う」とした上で「得点圏の時は(相手投手の)球の傾向も違うと思いますし、球速帯も違う。そのへんに対応する柔軟なものを持ってこないと。思い切って割り切って変化球を狙うも良し、インサイドにぶち当たりにいってもいいし。そういう思い切りがもっと欲しい。どっちつかずで当てにいって(犠飛を狙った)外野フライだけどちょっと浅いとか、いい当たりだけどゲッツーとか…。割り切りができる根拠を持って打席に入ってほしい」

 現役時代には2度の本塁打王に輝き、100打点以上を3度マークした村田コーチも、指導者としてさらに分析を進めていくという。「データをもらって準備済みなので僕も勉強しようかなと。『どうだ、見えてきたか?』と話した時に『僕はこうやって打ちたいと思います』と答えが返ってきたらうれしい」。汚名返上へ、オフも大忙しだ。