テニス界は女王の〝ご乱心〟だった――。日本の第一人者となった大坂なおみ(24)の2021年は浮き沈みの激しいシーズンだった。世界を困惑させた全仏オープンの「会見拒否」騒動をはじめ東京五輪の最終聖火ランナーなど、話題に事欠かなかった。男子の錦織圭(32)の復活ロードなど、担当記者はどう見ていたのか。


 記者A 2021年のテニス界は大坂なおみの話題で持ち切りだった。

 記者B はい、浮き沈みが激し過ぎる一年でした。忘れている人も多いですが、2月の全豪オープン覇者ですよ。23歳で4大大会4度目の優勝という偉業なのに。

 記者A ゴメン、忘れていた…。確かに春先は絶好調だった。連勝していたっけ?

 記者B はい、20年から21年3月まで23連勝。この時に使用していた同モデルのラケットは飛ぶように売れ、年明けからは一流スポンサーと立て続けに契約し、新型コロナウイルス禍にあって大坂だけ不況知らずでした。

 記者A で、春以降から雲行きが怪しくなったよね。

 記者B はい。全仏オープンの直前に「会見拒否」を表明。「アスリートの心の健康状態が無視されている」という主張でした。結果的に選手のメンタルヘルスに目が向けられましたね。

 記者A 実際に初戦勝利後に会見を拒否。その後に驚くべきことが…。

 記者B はい、大会棄権を発表した上で、長い間〝うつ状態〟だったことをSNSで明かしました。あれは世界のスポーツ界に衝撃を与え、他競技の選手にも影響を及ぼしたと思います。

 記者A でも、あそこで〝大坂ブランド〟が復活した感がない?

 記者B おっしゃる通り。20年の全米オープンで「ブラック・ライブズ・マター(BLM)]の運動に参加したように、社会問題について積極的に問題提起し、発信する大坂の姿勢は今も海外から評価されますね。

 記者A その流れで東京五輪に出場。まさか開会式の聖火リレー最終走者を務めるとは思わなかったな。

 記者B 開会式会場にいましたが、大坂が登場したときは盛り上がりました。ただ、そこが21年のピークだった感じですね。

 記者A 試合に負けた後に〝取材拒否騒動〟を起こしたっけ?

 記者B いえ、正確に言うと「敗戦時も取材エリアを通る」というルールを知らなかっただけ。主催者サイドは伝えたようですが、何人もの関係者が仲介したことで齟齬(そご)が生じました。日本テニス協会が間に入って事なきを得ましたが、五輪取材で一番のドタバタ劇でした。

 記者A その後の全米オープンでは試合中にラケットを叩きつけ、観客席にボールを打ち込んだり…。ちょっと精神が安定していないね。

 記者B あの試合後に「しばらくプレーしないかも」と言い残し、休養に入りました。ようやく充電が完了し、いよいよ22年からコートに復帰します。

 記者A 男子エースの錦織圭と一緒にフリーになるらしいね。

 記者B はい、所属していた日清食品のマーケティング変更の関係ですね。あの2人ならすぐに新しい所属スポンサーが見つかるでしょう。

 記者A 錦織は波があるけど、復活に向けて順調なようだし、もう一度、トップ10入り…いやトップ5を狙ってほしいかな。ま、とにかく2022年は2人の心機一転を祈りたいね。