ボクシングWBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(32=志成)が〝わがまま〟を貫いた。

 WBO同級6位の挑戦者・福永亮次(35=角海老宝石)とのV4戦(31日、大田区総合体育館)で勝利。初の世界戦に臨んだ相手を一蹴し「世界戦で勝ち続けるということは簡単なことじゃない中で、結果を残せてよかった」と安どの表情。判定まで持ち込まれた福永の印象は「なかなか崩れてくれなかった点はやりづらかった。でも、準備していたので驚くことはなかった。(パンチは)世界戦で戦っている僕からすれば普通」と涼しい顔で語った。

 9月のV3戦と違い、今回は有観客での試合となる中「最高。楽しめた」と口にした井岡。ただ、KOを期待する観客に乗せられ、舞い上がることはなかった。序盤から的確な攻撃で相手を追い詰めていき、ダウン奪取は時間の問題かとも思われたが、終盤はなぜか防戦の色を強めトーンダウン。そのまま押し切らなかった理由を井岡は「そんな甘い世界じゃない。微妙で紙一重の世界で丁寧にやっているから勝てる」とした。

 ただ、やはり来年に熱望するIBF世界同級王者のジェルウィン・アンカハス(フィリピン)との統一戦を意識しているからという側面もある。「リスクを負いたくなかったし、ケガしたくなかった。『倒しに行く』という会場の雰囲気を真に受けなくてもいいかなと(笑い)。ここまでやってきたからこそ、僕の自由にできると思う。今まで応援してきてくれた人は、これも『井岡一翔』の一つのスタイルだと理解してくれるはず。盛り上げるために打ち合って、(体を)痛めたり、ダウンしたりとかはしたくなかった」と説明。こんなクレバーさも井岡の強みと言えそうだ。